江川紹子氏、麻原元死刑囚と弟子の責任は「天と地ほど違う」「大きな衝撃を受けた」

スポーツ報知

 地下鉄、松本両サリン事件などオウム真理教による事件に関わったとして、殺人などの罪に問われ、死刑が確定した教団元幹部ら6人の刑が26日、執行された。教祖である麻原彰晃(本名・松本智津夫)元死刑囚ら7人が6日に執行されてから20日。一連の事件で死刑が確定した13人全員の執行が終わり、平成の時代を代表する未曽有の事件は大きな節目を迎えた。

 坂本弁護士一家殺害事件以来、オウム真理教を取材してきたジャーナリストの江川紹子さん(59)は「先日の松本元死刑囚らの執行より、大きな衝撃を受けた」と話した。さらに「幹部らはもともとは真面目な若者。自分を信じる者に殺人をさせた教祖と、心をからめ捕られて犯罪に手を染めた弟子たち。責任は天と地ほど違うはずだ」と指摘した。

 また、死刑囚との面会が親族以外は困難だったことを挙げ「彼らがなぜ教祖を信じ込んだか、プロセスを語る証人なので、もう少し専門家が話を聞いて事件を研究する必要があった。カルトとは何か、テロとは何か、教訓として後々につなげていかなければいけなかった。オウムと関連事件の解析と研究が進まなかったことは残念」と振り返った。

 ジャーナリストとして一連の事件を追ってきた有田芳生参院議員(66)は地下鉄サリン事件以後、米国が政府レベルでオウム真理教の実態調査を行い、上院の公聴会で、各国が共同で対処する必要性を強調したことを引き合いに出し「当事国である日本は、国会レベルで心の支配のメカニズムを解明して教訓を導きだそうという動きがなかった」と指摘した。

 有田氏は大韓航空機爆破事件(1987年)の実行犯だった北朝鮮工作員の金賢姫元死刑囚が韓国で特赦となり、後に真相を語った例を挙げ「例えば広瀬健一元死刑囚のように、カルトによる被害者が出ぬよう、入門の動機などを手記につづってカルト対策を社会に訴えようとしている元信者もいた。金賢姫元死刑囚のような扱いはできたはず」と話した。

 ジャーナリストの田原総一朗さん(84)は「松本元死刑囚の執行は当然と思うが、他の死刑囚については、執行せずに反省の人生を送らせる方が良かったのではないか」と話した。

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