名車見たい!外国人観光客から予約殺到…「日産ヘリテージコレクション」300台ズラリ

スポーツ報知
展示車の中で最も古いダットサン

 日産自動車の事業所の一角で往年の名車やレーシングカー約300台を見学できる「日産ヘリテージコレクション」(神奈川県座間市)が人気スポットになっている。年間約1万5000人の見学者のうち約1割は海外から。見学は無料で、予約は平日まで埋まる盛況ぶりだ。日産最古の車から、野球場で見かけたあの車まで、タイムマシンのように一挙に歴史を振り返ることができる。

 日産座間事業所の一角にある約5600平方メートルの展示場。往年の名車が約300台も勢ぞろいした光景は圧巻だ。グローバル工機管理部座間統括課の青木晃彦さんは「300台が一挙に展示されているのは日本でここだけです」と話す。

 2013年から予約制で一般公開を始め、SNSなどで話題になり、見学者は年々増加する一方。撮影自由のため、“インスタ映え”を狙うこともできる。海外でも紹介されたことから、アジア圏を中心に外国人観光客の来場も増えてきている。

 入り口でまず目にするのが「ダットサン12型 フェートン」(排気量748cc)。12型は日産が創業した1933年12月当時に製造された最古のモデルとして知られる。フェートンとは、折りたたみ式のほろを装備する4人乗りのオープンカーのこと。ピカピカに磨かれ、今にも走り出しそうな雰囲気がある。

 日産のスポーツカーと言えば、フェアレディZやスカイライン。ここではその歴代モデルが一気に堪能できる。また、天皇陛下が実際に愛用された「プリンス セダン」(1954年)や、1964年の東京五輪で聖火を運んだ「セドリック・スペシャル」(63年)もある。この車は国産初の本格的な大型車で、排気量は2825cc、直列6気筒の115馬力。動力性能はベンツにひけを取らなかったという。高級車らしく、室内は広々とし、VIPな気分に浸れそうだ。

 プロ野球・ベイスターズファン必見の車もある。1987年(5位)、横浜大洋ホエールズ時代に横浜スタジアムで使用したリリーフカーは、実際に乗って写真撮影ができる。当時は古葉竹識監督の就任1年目。屋鋪要、高木豊、加藤博一の「スーパーカートリオ」に、ポンセが4番に座り、斉藤明夫が抑えとして君臨した。40代以上のファンなら懐かしい光景が脳裏に浮かぶかもしれない。

 奥には金色の車がたたずんでいる。「ゴールド GT―R」(2013年)は日産が陸上世界記録保持者のウサイン・ボルトをキャンペーンに起用した縁で製造され、世界に3台しかない。1台は本人が所有し、もう1台はチャリティーオークションにかけられた。金額は塗装やチューニングをボルト仕様にしたため約1600万円ほどだが、もちろん、お金を出しても購入はできない。

 青木さんは「好きな方は何度も来られます。見学時間が足りないため、1日2回来られる方もいます。ここで日産のDNAを感じていただければいいですね」と話した。

 ◆トヨタとホンダも展示 トヨタは自動車の歴史などが分かる「トヨタ博物館」(愛知県長久手市横道41の100)を運営している。創立50周年を記念し、1989年から開業しており、世界で発売する約140台を展示。また、ホンダはツインリンクもてぎ内の「ホンダコレクションホール」(栃木県芳賀郡茂木町桧山120の1)で、レーシングカーなど約350台を展示している。

 ◆日産ヘリテージコレクション 住所・神奈川県座間市広野台2の10の1。小田急江ノ島線南林間駅から神奈川中央交通バス「日産」「相武台前駅」「小田急相模原駅」行で「ひばりが丘1丁目」下車で徒歩7分。相鉄本線さがみ野駅から相鉄バス「南林間駅」行「ひばりが丘1丁目(または工機入口)」下車、徒歩7分。問い合わせはTEL046・298・4355(日産自動車座間事業所座間統括課、月~金午前10時から午後4時)。見学時間は午前10時から12時、午後2時から4時の2回。ネットで要予約。駐車場有り。

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