「新潮45」休刊…杉田水脈氏の論文擁護で批判「原稿チェックがおろそかに」炎上商法は否定

スポーツ報知

 性的少数者(LGBT)への表現が差別的だとの批判を受けている月刊誌「新潮45」の特集を巡り、新潮社は25日、同誌の休刊を決めたと発表した。

 同社はこの日午後、ホームページで「休刊のお知らせ」と題したコメントを掲載。「部数低迷に直面し、試行錯誤の過程において編集上の無理が生じ、企画の厳密な吟味や十分な原稿チェックがおろそかになっていたことは否めません」と説明し、「このような事態を招いたことについておわび致します」と謝罪した。

 同誌は7月18日発売の8月号で、自民党の杉田水脈衆院議員の「LGBTには『生産性』がない」とする寄稿を掲載。この内容がLGBTに差別的として、批判が相次いだ。その後、同誌は今月18日発売の10月号で「そんなにおかしいか『杉田水脈』論文」と題して7人が寄稿。評論家の小川栄太郎氏は同性愛を「全くの性的嗜好(しこう)ではないか」とした上で、LGBTの権利を擁護するなら「痴漢」が「触る権利を社会は保障すべきでないのか」などと主張を展開していた。

 この日夜、休刊について説明した同社の伊藤幸人広報担当役員は「雑誌を休刊するというのは、我々にとって苦渋の決断だった」と吐露。「(雑誌が注目されるための)炎上商法ではないか?」という指摘には「そういう認識は全くない」と否定し「編集部は8月号に対する批判について、何らかの反論を載せたいという目的だったのは間違いないし、会社が(炎上するように)指示したこともない」と語気を強めた。ただ、10月号は近年の号と比較すると、売り上げの出足はいいという。

 ◆新潮45 新潮社の月刊誌。45歳以上の中高年層を対象にして1982年に「新潮45+」として創刊された後、85年から現在の誌名になり、スキャンダルから社会問題まで幅広く扱ってきた。同社のホームページでは「死角を突き、誰も言わないことを言い、人の生き死にを考える」などと特徴を紹介しており、今年に入ってから反リベラルの色を強めていた。最新の発行部数は、日本雑誌協会によると1万6800部。

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