カパル、「組織票」除いたら暫定4位から大逆転…ゆるキャラGP

スポーツ報知
カパル

 自治体や企業の“ゆるキャラ日本一”を決める「ゆるキャラグランプリ2018」の結果発表が18日、大阪府東大阪市で行われ、ご当地部門では埼玉県志木市文化スポーツ振興公社のカッパをモチーフにした「カパル」が栄冠に輝いた。10月末の中間発表時に暫定トップ3だったキャラクターは、大量取得IDによる投票が無効とみなされて得票数を大きく減らしたとみられ、大逆転を許す形となった。

 4位に、得票数とともに「一生犬鳴!イヌナキン!」の名が呼ばれると、会場内にざわめきが起きた。10月31日のインターネット投票の中間発表時では約106万票を稼いで暫定3位だったが、総得票数は約60万。約46万もの票が“消えて”いた。暫定1位だった「こにゅうどうくん」は約35万票を減らし3位に、2位の「ジャー坊」は約23万票を失っていた。

 中間発表で100万票を超え、他の自治体を大きく引き離していた3自治体には、ルールやモラルを逸脱した“組織票”の疑いの目が向けられた。「こにゅうどうくん」を推す人口31万人の四日市市は、フリーメールアドレスを取得して大量に得たIDを職員に配布したと指摘された。「ジャー坊」でも大牟田市が約1万件のIDを作って希望した職員に配布していた。

 11月に入り、大会実行委員会がシステム会社に依頼して投票を精査。裏アカウントとみられるIDにメールを送信して、返事がないものは無効とするなど「客観的に見て、おかしいIDを削除した」と実行委員長の西秀一郎氏(55)は説明。結果、暫定トップ3が軒並み得票数を減らし、暫定4位だったカパルが大逆転する形となった。

 西氏は「2015年ごろから毎年やっている処置。いつも起こる現象」と今回が特別ではないと強調。一方で自治体の一員から「無理やり(投票を)やらされている」との愚痴が届いたこともあったという。

 一定数のID作成を認め、「1人1日1回」と明文化されているルールを「1アドレスで1回」と認識していたという四日市市の森智広市長(40)は「容認されているものと思っていた。どういう部分が不正なのかは分からない。『組織票』という言葉が独り歩きして残念。投票を強制したことはない」と語った。

 優勝した「カパル」は市内のカッパの民話に由来するキャラクターで2001年に誕生した。12年から5度挑戦してきたが、最高順位は昨年の11位だった。今回が最後の挑戦と表明。振興公社の抜井俊理事長は「ファンが地元駅前でビラ配りをして応援してくれた。地域で活動した結果だ」。陣営の権田原花子さんは「うれしい。うちは職員5、6人でアルバイトを入れても30人ほどの弱小団体。忙しいですから」と組織票を笑顔で否定しながら、歓喜に浸っていた。

 ◆「ゆるキャラに頼るな」20年に大会終了へ

 2011年に「くまモン」(熊本市)の優勝でスタートした「ゆるキャラGP」だが、2020年をめどに終了することが発表されている。

 8回目の今大会には909体がエントリー。2日間で3万8348人が来場するなど盛り上がりを見せたが、景気回復やインバウンド(訪日外国人の消費)拡大もあり、西氏は「ゆるキャラが特効薬だった時代はもう終わった」と断言。組織票騒動もあり「一個人としてはもう疲れた」と苦笑いも出た。大会に参加する団体には「経済効果ばかり追いかけて上位に入る事を目的にしてほしくない。地域活性化を、ゆるキャラに頼るなということ」と話していた。

 ◆Ho!さん、企業その他部門で130位 401体がエントリーした企業その他部門の優勝は熊キャラの「はぴ太ファミリー」(関西電力)だった。2位はカテエネコ(中部電力)、3位はかんぽくん(かんぽ生命)、4位はみちまるくん(NEXCO中日本)、5位はラビーちゃん(全日本不動産協会)。スポーツ報知の「Ho!さん」は130位。最下位は、とんがり姫(高知・レストラングドラック)。

 ◆投票のしくみ ネット投票は2011年から「1人1日1回」がルールとされた。パソコンやスマートフォンから投票する場合は、ID登録が必要。今年は8月1日~11月9日までで、10月31日をもって中間順位の表示が消され、あとは「当日のお楽しみ」という形が取られた。また、会場来場者による「リアル投票」は、14年から開催前日に発表される「倍率」を実投票数に掛け合わせる形式となり、今年は3倍。ネット投票とリアル投票の合計が、最終結果となる。

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