ゴーン容疑者、海外豪邸を無償利用

スポーツ報知
ゴーン容疑者が無償提供を受けたとされる住宅

 会長を務める日産自動車の有価証券報告書に自身の報酬を約50億円少なく記載していたとして、金融商品取引法違反の容疑で逮捕されたカルロス・ゴーン容疑者(64)が、会社側から海外4か国の住宅を無償で提供され、利用していたとみられることが20日、分かった。また、東京地検特捜部が日産の執行役員らとの間で、捜査に協力する代わりに刑事処分を軽くする司法取引に合意していたことも判明。日産の株価は大幅安となるなど、各方面で大きな影響が出ている。

 自らの報酬を約50億円も過少記載していたゴーン容疑者に、さらなる疑惑が浮上した。関係者によると、ゴーン容疑者は日産が購入した住宅を無償で利用していたとみられるという。

 住宅があったのはリオデジャネイロ(ブラジル)、ベイルート(レバノン)、パリ(フランス)、アムステルダム(オランダ)の4か所。パリは取締役兼最高経営責任者(CEO)を務めるルノーの本社が、アムステルダムには日産の連結子会社があるが、他の2か所には関連企業はない。さらにリオはゴーン容疑者の生まれ故郷、ベイルートは幼少期に育った土地であることから、「ゴーン専用」の豪邸として購入されたとみることもできる。

 東京地検特捜部は、会社側から実質的な利益を得ており、報酬として有価証券報告書に記載する義務があったとみて詳しい経緯を調べる。

 また、ゴーン容疑者とともに逮捕された側近で代表取締役のグレゴリー・ケリー容疑者(62)が、法務担当の外国人執行役員ら複数の部下に虚偽記載を指示していたとみられることも判明した。住宅の購入にはこの執行役員が関与していたという。

 日産はゴーン容疑者が会社の資金を不正に流用したと指摘しており、事実であればゴーン容疑者は、業務上横領や特別背任などの容疑で立件される可能性もある。ただ、特別背任は会社へ損害を与える意図があったことを立証する必要があり、司法権の及ばない海外での住宅に関する捜査は難航も予想される。

 その一方で、この執行役員らが司法取引に合意していることから、疑惑の証拠や決定打となる資料が出てくるとの見方もある。司法取引は、容疑者や被告が他人の犯罪の捜査に協力する見返りに、自分の起訴を見送ってもらったり軽くしてもらったりする制度。今年6月の改正刑事訴訟法施行で導入され、適用は2例目とみられる。特捜部は今後、日産の社内調査などの結果の情報を得て、特別背任や業務上横領を視野に捜査するとみられる。

 また、ゴーン容疑者が家族旅行の代金や飲食代などを日産側に負担させていた疑いがあることも関係者の話で分かった。

 トップの逮捕から一夜明けたこの日、東京株式市場では、日産株は売り注文が膨らみ、終値は前日比54円80銭安の950円70銭。下落幅はマイナス5・45%で、16年8月以来、約2年3か月ぶりの安値を付けた。

 日産は22日の取締役会で、ゴーン容疑者とケリー容疑者の解任を決める。

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