傘もシェア、IoT技術使い1日70円で外国人観光客にもアピール

スポーツ報知
自らの経験から「アイカサ」のサービスを考案した丸川照司さん

 自らの所有物として購入するのではなく、必要な時にだけ借りる「シェアリングサービス」が車や自転車などで広がっている中、スマートフォンを利用して雨傘をどこでも借りて利用することのできるサービス「アイカサ」が、3日からスタートする。運営する株式会社ネイチャー・イノベーション・グループの代表取締役・丸川照司さん(24)は「雨が降りそうでも、ストレスなく外出できる社会を作ることができれば」と考えている。(高柳 哲人)

 「家を出る時には晴れていたのに、いざ目的地に到着したら雨が降っていて仕方なくビニール傘を買ったものの、すぐに雨がやんでしまった」「雨が降りそうなので念のため持って出掛けた傘を、店の傘立てに忘れてきた」―。誰しも一度は経験したことのあるだろう「失敗」をなくす画期的なサービス。「アイカサ」は、その可能性を持っている。

 「日本初の傘シェアリングサービス」をうたう「アイカサ」は、3日から運用開始を予定。スタート時は渋谷を中心に約50か所の「アイカサスポット」を設置し、約1000本の傘を用意した。スマートフォンを使ってその場で申し込めるユーザー登録をすれば1日70円、1か月最大420円(いずれも税込み)で傘を利用できるサービスだ。

 傘はIoT(モノのインターネット)の技術を用いた、柄の部分にICチップを入れたダイヤルロック付きのものを使用。LINEで送信されてきた番号でロックを解除しないと傘が開かない仕組みとなっており、盗難を防止する。使用料は、サービス開始時はクレジットカード決済のみだが、将来的には電子マネーも利用できるように準備を進めている。

 発案は、数年前の丸川さん自身の経験がもとになっている。「学生時代、最寄り駅に到着して雨が降っていた時にビニール傘を買うのですが、『キリがないな』と。雨が弱ければ多少ぬれて歩くのを我慢できても、毎回そういうわけにはいかないと思ったんです」。そんな時に、カーシェアリングが話題になっているのを目にした。

 「それで『これを傘でもやれないだろうか。好きな時に傘を借りられるシステムを作れないだろうか』と考えました」。雨の日に移動する際に使用する傘は、「モノのシェア」ではなく「移動手段のシェア」、つまり、車や自転車をシェアして使うのと同じ概念であるとひらめいたという。

 渋谷を中心にサービスを始めるのは、会社の所在地であることも理由の一つだが、「街にいる人の感度の高さ」が大きい。「まず、多くの人が集まる。そして、新しいモノ好きの人が多いですから。今年3月に、ビニール傘を使って実証実験を行っていたのですが、すぐにツイッターでも話題になりました」。現在はサービス開始前だが、すでに約1000人が事前登録を行っている。

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