【#平成】田原総一朗氏が語る「平成」 「国民のほとんどが戦争を知らない世代になった時代」

スポーツ報知
平成を振り返りつつ新時代への提言も行った田原総一朗氏

 平成の30年間を振り返った「♯平成」。ジャーナリストの田原総一朗さん(84)が、総集編として「平成の時代」を語った。平成が始まる2年前、1987年4月にスタートしたテレビ朝日系討論番組「朝まで生テレビ」で30年以上にわたって司会を務める田原さん。番組とともに平成という世相を斬り続けてきたテレビ界の重鎮が、平和な時代を築き上げる大切さを訴えた。(樋口 智城)

 平成の時代とは何だったのか。田原さんは「平成は、日本国民のほとんどが戦争を知らない世代になった時代」と指摘する。「テレビに出ている戦争世代なんて、自分が最後なんじゃないですかね」と苦笑いした。

 明治、大正、昭和と日本は大きな戦争を経験した。第2次世界大戦後も、中東やベトナムなど戦争はなくならなかった。そして平成。1989年にベルリンの壁が崩壊した。「平成の始まりと同時に冷戦が終わった。これは大きいんじゃないかな。米ソ首脳の冷戦終結宣言後、総理を辞めたばかりの中曽根(康弘)さんが『神が人類に与えた休暇の時間だ』と話していたことを思い出す」

 米中枢同時テロ、北朝鮮核問題など国際社会は今も多くの難題を抱えているが、「日本は対外的に平和を保ってきた。『平和ボケ』と言う論調はありますが、みなさんどう思います? かなり珍しい事象だと思いますよ」。

 田原さんは87年から30年以上、「朝生」の司会を務めてきた。開始当時は、戦争を知る論客が大暴れ。強烈な戦争経験があるからこその言葉があった。「例えば1回目から出ていた(映画監督の)大島渚さんなんて『国家ってものは良くない』なんて平気で言っていた。今、そんな元気なことをいう論客はほとんどいないよ」

 田原さんにはジャーナリストの原点とも言える経験がある。「小学校5年生の1学期、教師たちが『この戦争は侵略国からアジアを解放するためだ、君らも参加して名誉の戦死をしろ』と言っていたのに、終戦後の2学期になって『あの戦争はやってはいけなかった。平和のために頑張れ』って。180度、価値観が変わったわけですよ」

 その体験を踏まえ、田原さんは「平成が終わり、新時代を迎えても『戦争しないこと』は絶対に守らなければいけない」と主張する。「交流している政治家たちや若い世代には、このことだけはずっと言い続けている」と戦争世代を代表して願いを込めた。

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