TDLワールドバザールの隠れグラフィック…東京ディズニーリゾート誕生秘話<2>

スポーツ報知
OLC・高橋政知元社長のウインドーグラフィック

 東京ディズニーランド(TDL)は1983年4月15日に開園した。2001年9月4日に開園した東京ディズニーシー(TDS)も含めた東京ディズニーリゾート(TDR)で展開中の「東京ディズニーリゾート35周年“Happiest Celebration!”」は3月25日にグランドフィナーレを迎える。TDRを運営するオリエンタルランド(OLC)の加賀見俊夫会長(82)らの証言で原点を振り返り、“永遠に完成しない”TDRの未来を読む。

 加賀見は、東京ディズニーランド(TDL)のワールドバザールを通るたびに厳粛な気持ちになる。

 通り沿いのウインドーグラフィックの中に「MASATOMO TAKAHASHI」という文字がさりげなく刻まれている。35年前にTDLの開園宣言をした当時OLC社長の高橋政知のことだ。2000年に86歳で亡くなった高橋が1998年に米国のザ・ウォルト・ディズニー・カンパニー(ディズニー社)から「ディズニーレジェンド」という称号を授与されたことを記念してのもの。タウンセンターファッションの2階窓にそれはある。

 実は、08年に加賀見もレジェンドに認定されており、「TOSHIO KAGAMI」というグラフィックもバザール内にあるが「目立ってはいけませんから」というのが加賀見の方針であるため、積極的には明らかにされていない。隠れミッキーのようにバザール内で探してみてほしい。

 「FOUNDER」(創設者)と書かれた高橋こそ“TDLの父”だった。ここに1枚の写真が残っている。ディズニー社社長のカードン・ウォーカーと高橋が契約書にサインを交わし握手している。79年4月30日(日本時間5月1日)に米カリフォルニア州バーバンクでの調印シーンだ。当時、不動産事業部長だった加賀見は、高橋が何度も渡米しては交渉が進まず不機嫌な様子で帰国する姿を見てきただけに、この写真は最高にうれしい“お土産”になった。「蝶ネクタイ姿のミッキーマウスが『よかったね』とでも言うように、立ち会ってくれていたんですからね」

 TDLの原点は、これよりもさらに19年さかのぼる。60年、東京・上野のアメ横入口にあった京成電鉄本社5階の3つの机がOLCになった。京成電鉄社長の川崎千春が初代社長を兼務した。千葉県が推進する東京湾岸地域の埋め立て(土地造成)事業に名乗りを上げるべく誕生したのだ。浦安地区を埋め立てるためには、地元の漁業協同組合に漁業権の放棄を求めることが命題だった。一筋縄ではいかない海の男たちを相手に、その補償交渉にあたったのが専務の高橋だった。=<3>につづく、敬称略=(酒井 隆之)

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