聖火リレー五輪史上初「つなぎ目のない、ひとつなぎのトーチ」走者は購入可5~7万円が相場

スポーツ報知
東京2020オリンピック聖火リレーで使用されるトーチ(C)Tokyo 2020

 2020年東京五輪・パラリンピックの大会組織委員会は20日、五輪の聖火リレーで使われるトーチを発表した。日本を象徴する桜をモチーフにデザインされ、素材のアルミの3割には、東日本大震災で岩手、宮城、福島の3県の仮設住宅の廃材を再利用。新幹線の車両製造に用いられている最先端のアルミ精製技術を活用し、五輪史上初の「つなぎ目のない、ひとつなぎのトーチ」が実現した。火が消えないよう燃料システムも工夫。「桜の新幹線聖火」が、来年3月26日から福島・Jヴィレッジでスタートする聖火リレーを彩る。

 聖火がギリシャから到着する2020年3月20日までちょうど1年となったこの日、聖火リレーで使われるトーチがお披露目された。形状のコンセプトは桜。火をともす上部を花びらの形にして、日本の心を表現した。色は「桜ゴールド」。やや赤みがかった金色だ。素材はアルミ製で、全体の3割ほどが岩手、宮城、福島の仮設住宅824戸に使われた窓枠などの廃材をリサイクルして使われている。

 特徴的なのは、五輪史上初めて「つなぎ目のない、ひとつなぎのトーチ」となることだ。高速で運行する新幹線の製造に使われている日本独自の技術。車体の最前部などに使用され、風が内部へ入らないよう隙間を極力なくすために開発された。

 つなぎ目をなくした最大の目的は「軽量化」。ネジやビスなどを使うと重くなるため、本体以外の付属物をなるべく使わないことが重要だった。トーチは全長71センチながら、燃料を含む重さは1・2キロ。年齢、性別、障がいの有無、国籍などにかかわりなく、多様なランナーが持てるように配慮された。前回の64年東京五輪開幕9日前の直前に開業した新幹線。その技術が半世紀の時を経て、今回の五輪に活用された。

 さらにエベレスト登山用コンロの技術を用いた超小型ガス調圧器を内蔵させ、外の環境にかかわらず一定量の燃料ガスを取り入れる工夫も。道路が大規模冠水する1時間50ミリの災害級の雨量でも、歩くのもままならない秒速17メートルの大嵐であっても、常に25~30センチの炎を立てることができる。

 日本の技術の粋を集めて作られた今回の聖火トーチ。来年3月26日に福島県の「Jヴィレッジ」から、121日間のリレーが始まる。1日あたり80~90人が参加する見通し。実は、リレーを行った人はトーチを購入することができる。値段についてはIOCと調整中だが、過去の五輪だと5~7万円が相場。今後は計1万本以上製造される予定だ。

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