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荘厳なイスラム建築の前に“クリスマス風”装飾 マックやスタバないウズベクにも国際化は押し寄せるのか

2018年2月13日16時0分  スポーツ報知
  • ブハラという都市にあるメドレセ。景観を壊す装飾が…
  • ウズベキスタンのレストランの夜景

 昨年暮れ、中央アジアのイスラム国家・ウズベキスタンへ取材に行った。J1ジュビロ磐田に昨季、ウズベキスタン代表MFムサエフ(29)が加入したことも手伝い、同国取材の機会に恵まれた。期間は12月17日から26日。友人に「イスラム教の国だったら、クリスマスはないだろうね」と言われた言葉が脳裏によぎりつつ、成田空港を出発した。

 だが、すぐに予想は裏切られた。到着後すぐ、首都・タシケントのホテル内でツリー、トナカイなどの装飾を見つけた。同行した日本人も「外国人が多く泊まるホテルだから、宗教が違っても、気をつかったんじゃない?」。だが、2日目のレストランの庭にも堂々とツリーとトナカイの姿が。暗闇の中からロマンチックなイルミネーションも。同行したムサエフに聞くと「この国はクリスマスは祝わないが、ハッピーニューイヤーは盛大に祝うんだよ」。ツリーやトナカイは、“年越し要員”だったのだ。

 首都タシケントから、飛行機で約1時間半の距離にある都市ブハラ。ナディール・ディヴァンベキ・メドレセでの出来事。歴史的意義も深い神学校の門全体をカメラに写そうと目の前の公園に移動した。だが、同行の旅行ガイドブック編集者がつぶやいた。「邪魔だな…」。公園の木に“クリスマス風”装飾が施され、―メドレセの真正面に人工のツリーが置かれていた。鳳凰(ほうおう)が白鹿をつかみ、顔のある太陽に向かって飛ぶ絵が描かれた17世紀築の神学校。荘厳なイスラム建築物の前にミスマッチな光景が広がる。「もっと景観に気を配った方が…」。一同、あぜんとした。

 治安は良く、ゴミ一つ落ちていない。ただ、1991年にソ連から独立後も孤立主義が長く続いたせいか、国全体が少々“マイペース”。昼食と夕食は毎回約2時間。現地ガイドも「段取り」がやや苦手なようで、当日までどこに行くのか不明な日も。現地在住の日本人によると「日本の感覚からすると驚きますが、こっちでは当たり前のこと」。時間に追われる日本とは真逆で、“古き良き”生活が保存されているようだった。

 現在、孤立主義の名残からウズベクで活動する外資系企業は少ない。確かにマクドナルドやスターバックスは一軒も見かけず、日系企業の自動車もあまり走っていなかった。2016年にミルズィヤエフ大統領が就任してからというもの、規制緩和が大きく進んでいる。私が滞在した12月24日に特別な日という雰囲気はなかった。ウズベキスタンに国際化の波が押し寄せたとき、クリスマスイブが特別な夜になるのだろうか。(記者コラム・山田 豊)

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