マニアをガッチリ「ムー」創刊40周年 UFO、宇宙人、陰謀論、超能力、大予言、心霊…ひたむきに怪しく

2018年12月8日12時0分  スポーツ報知
  • 「福山雅治さんから40年の祝辞をいただいたのはうれしかった」と語る三上丈晴編集長

 超常現象を扱う月刊誌「ムー」(学研プラス、820円)が、11月号で創刊40周年を迎えた。業界のトップランナーとして一部マニアのハートをガッチリつかみ、長い歴史を積み上げてきた名物雑誌。5代目編集長・三上丈晴さん(50)に、創刊の意外ないきさつや、長く発行し続けることができた秘けつ、超常現象業界の未来などを聞いた。(樋口 智城)

 UFO、宇宙人、陰謀論、超能力、大予言…。怪情報を伝え続けてきたムーが、40周年を迎えた。10月には渋谷パルコで記念の「ムー展」も開催。盛況のうちに幕を閉じ、今後は福岡や名古屋などでも開催される。

 「パルコって若い都会の女の子が多いんですが、彼女たちがムーグッズやムーバッグを持って物販を買っていく姿に驚きましたね。毎月読んでいるとは思えないのに…」。ムーが好きなマニアは、いつの時代も定期的に“生み出されていく”のかもしれない。

 「現在の発行部数は月7~8万部ほど。出版不況で右肩下がりではありますが、ありがたいことに一定層のマニアの方々に支えられて安定はしていますね。廃刊危機などは過去ありませんでした」

 独自路線で確固たる地位を築いている「ムー」だが、創刊は軽いノリから始まった。学研では小学校から高校まで学年ごとに学習雑誌を発行していた。小学校までは教育の要素が強いが、中高になると「超常現象」のほか「芸能」や「スポーツ」など勉強以外の情報も掲載していた。

 「70年代末ごろは、読者アンケートを取ると超常現象が毎回大差の1位。当時は雑誌創刊ブームだったので、反応がいいなら(専門の)雑誌作っちゃえと」。同じコンセプトで立ち上げたのが、女性アイドル雑誌「BOMB(ボム)」、写真専門誌「キャパ」だった。

 「でも、当初は部数が全く伸びなかったんですね。小説、漫画とかも載せてて総合誌的な感じがウケなかった」。そこで80年11月に思い切ってリニューアル。「余計な内容を排除し、ほぼ文章だけにして、大人の読み物にしたんですよ。以降は部数も大幅に伸びました」

 80年代はオカルトが流行し、「たま」など競合雑誌は多数あった。だが廃刊が相次ぎ、今も生き残っているのは「ムー」だけとなった。安定して読者を引きつけ続けられた要因は何なのだろうか。

 「超常現象を扱うのは難しいんですよ。例えば『これを信じろ』みたいな主張をすれば、読者は引いちゃう。かといって小馬鹿にした感じで作っても、敏感に嫌悪感を示されます」

 重要なのは真贋定かではない事象に対する微妙なさじ加減。

 「ある号でUFOの正体は『宇宙人の乗り物だー』って載せて、後の号で『未来からのタイムマシン』とか『地底人の乗り物です』って書いたり。どれがホントやねんってツッコミは受けるんですが、要は、どの説も100%じゃないっていう姿勢が必要なんですよ」

 押しつけがましくなく、読者の思いをくみながらいろいろな説があることを提示する。

 「モットーは“ひたむきに怪しく”。全力で読者のことを考え抜くことこそ、この手の雑誌には必要なんです」

 12月号で41年目に突入した。今後の超常現象業界はどうなっていくのだろうか。

 「超常現象関係って大昔から存在していますし、途切れることなく続いていくもの。みんなが『超能力や心霊は存在しない』という前提のもとで永遠の思考ゲームをしていますから。科学技術が進むほど、逆に『科学じゃ解明しきれない事象があるかも知れない』という思いも出てくるんじゃないでしょうか」。入社前は筑波大で物理学を専攻し、ガチガチに「科学」のバックグラウンドを持つ三上さんはそう分析した。

 ◆ムー 1979年、学習研究社(現・学研ホールディングス)が創刊。雑誌名は、太平洋にあったとされる伝説の古代大陸「ムー」に由来するとされる。当初は隔月刊だったが、81年11月号以降は月刊となった。主な内容はUFO、異星人、超能力、怪奇現象、古代文明、陰謀論など超常現象全般。

 ◆三上 丈晴(みかみ・たけはる)1968年9月9日、青森県生まれ。50歳。筑波大自然学類卒業後、91年に学習研究社入社。同年に「歴史群像」編集部を経て「ムー」に配属。05年に5代目編集長に就任した。

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