【三浦瑠麗Lullyのホンネ】平昌五輪参加で利益得た北朝鮮

2018年2月4日14時0分  スポーツ報知

 平昌五輪をめぐる政治戦が激しくなっています。韓国の文大統領は左派リベラル勢力を代表する政治家として、南北融和をアピールしたい人。北朝鮮の五輪参加や、アイスホッケーの南北共同チームの編成へと大きく舵(かじ)を切りました。五輪が、政治化するのは昔からのしきたりのようなものですから。

 北への圧力を強めるために、多少効果の見込まれる制裁を実施した矢先のことでもあり、国際社会にとっては痛手です。北朝鮮は何の妥協もせずに国際社会の結束が綻び利益を得たわけです。

 日本では文政権の見識を疑うというトーンの報道が続いていますが、韓国国内では必ずしもそれ一色ではありません。米韓軍事演習の延期もやむを得ない。五輪が平和の祭典になったと喜んでいるくらいの印象。大会期間中は、北朝鮮から美女応援団がやってきて、朝鮮民族の誇りと融和を演出するのでしょう。毎度のことではあるけれど、それで韓国国民はなんとなくいい気分になってしまいます。それが同民族ということの意味なのでしょうが、日本国内の論調とは随分異なります。

 北朝鮮情勢をめぐる各国の態度を見ると、東アジアの現実がいろいろと見えてきます。韓国は、いざ有事となれば最も損害が大きくなる存在だけに、中長期的な視点よりも目先の融和策に飛びつきます。米中の狭間にたってバランスを取ろうとする結果、政策が絶えず揺れ動くのも特徴です。米国は、表面上は北朝鮮の動きを警戒しつつ、国民レベルでは危機意識は希薄です。現時点では、米本土には大きな犠牲が見込まれないことから、無責任な先制攻撃論がたえずくすぶっています。今世紀に入って以降も手痛い失敗を経験しているはずなのに、相変わらず戦後統治の認識は甘々です。

 中国は、北朝鮮をコントロールできるのは自分たちだけという外交カードを最大限利用しつつ、東アジアの中長期的なパワーバランスを自国有利にするよう積極的に動いています。韓国と日米の間にくさびを打ち込み、朝鮮半島への特別な影響力を確保しよういう目算でしょう。つかの間、五輪で平和的気分を味わった後に本当の試練がやって来ることとなるでしょう。(国際政治学者)

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