期待せずにはいられない萬斎流の五輪閉会式

2018年8月3日17時10分  スポーツ報知

 2020年東京五輪・パラリンピックの開閉会式の計4式典を統括する「チーフ・エグゼクティブ・クリエーティブ・ディレクター(ECD)」に、狂言師の野村萬斎(52)の就任が決まった。

 意外なほど長い横文字の肩書き。狂言師という枠を超えた活躍を期待でき、「具体的に式典で何をするのか」とあれこれ想像してしまう。福島・Jヴィレッジで行われた大会組織委の理事会を取材した際、森喜朗会長に「萬斎さんなら伝統芸能的なものも取り入れる感じになるんですかね~」と聞くと、「そうやって決めつけるのは良くない。我々も知らないんだから」。大会組織委のトップでさえイメージできない演出は今から楽しみだ。

 翌日、東京で萬斎らが会見したが、大まかなコンセプトだけの説明。それでもできる限りはイメージを伝えようとしてくれたようだ。その中で、少し踏み込んで答えてくれたものが一つ。8月9日に行われる五輪閉会式の演出担当の映画監督の山崎貴氏が、長崎に原爆が投下された日と開催日が重なることについて、「せっかくのタイミングなんで少し関連づけたことができればいいなとればと思ってます」と話したのだ。

 五輪が「平和の祭典」を謳(うた)うのなら、偶然重なった「8月9日の東京五輪の閉会式」で、唯一の被爆国として何らかのメッセージを届ける試みは、不自然ではない。

 野村萬斎が4式典を統括するリーダーになったのは「いろいろ議論をまとめる調整能力が特にすごい」から。複数の関係者が口をそろえて同じことを証言する。山崎演出が実現に向かった時、野村萬斎がどう折り合いを付け、世界に平和を表現するのか。期待せずにいられない。(記者コラム・文化社会部 樋口智城)

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