【東都】東洋大・上茶谷「日本一しか目指すところはない」崖っぷちから連勝でV3

スポーツ報知
リーグ優勝を決めてナインから胴上げされる東洋大・上茶谷(カメラ・川口 浩)

◆東都大学野球春季リーグ戦最終週最終日 東洋大9―0亜大(31日・神宮)

 東洋大が、負ければV逸という崖っぷちからの連勝で3季連続19度目の優勝を決めた。3日連続で先発した今秋ドラフト1位候補右腕・上茶谷大河(4年)は、6回1安打無失点の好投で今季6勝目。MVPなどの3冠も獲得した。今年2月に就任した杉本泰彦監督(58)は就任1季目で母校をVに導いた。東洋大は全日本大学野球選手権(6月11日から7日間・神宮ほか=報知新聞社後援)に2年連続12度目の出場が決定。これで出場全27校が出そろった。

 三塁ベンチで優勝の瞬間を見届けた上茶谷は、ゆっくりとした足取りで歓喜に沸くマウンドへ向かった。「しんどかったので…。1回が終わった時に完投したぐらいの感じでした」。3日続けて先発を託され、守護神・甲斐野央(ひろし)と2試合連続完封リレー。最後は意地と執念で、3季連続Vをもぎ取った。

 今春までリーグ戦先発も白星もなく、通算6試合で4回2/3しか登板がなかった右腕がMVP、最優秀投手、ベストナインの3冠。2月に就任した杉本新監督との出会いで、全てが変わった。「僕に躍進のきっかけを与えてくれた人。去年までの打たれた試合の映像を見て、分析してくださった。進路も社会人野球を考えていたけど、プロに行けと」

 指揮官の助言で投球フォームも、意識も変えた。右肘の上げ方をスムーズにすることで無駄な動きをなくし、試合で完璧な投球を求めるのをやめた。スカウト陣が絶賛するドラフト1位候補まで急成長した大黒柱は「疲れがある中で抑えられた。新しい武器を手に入れられたと思う」と充実感を漂わせた。

 昨季まで社会人の西部ガスを率いた杉本監督は、恩師でもあり、46年間指揮を執った高橋昭雄前監督(69)から引き継いだチームで3連覇を達成。意思の疎通を図るために毎朝ミーティングを行い、自身の思いや考え方を浸透させてきた。

 昨年の全日本大学野球選手権は初戦敗退。1/3イニング、わずか2球の登板に終わった上茶谷は「日本一しか目指すところはない」と早くも気合をみなぎらせた。(青柳 明)

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