【大学選手権】“北の苦労人”苫小牧駒大・伊藤が全国1勝

スポーツ報知
好投した苫小牧駒大・伊藤

◆報知新聞社後援 全日本大学野球選手権第2日 ▽1回戦 苫小牧駒大4―2日本文理大(12日・神宮)

 全国大会初勝利をつかんだ瞬間、苫小牧駒大の伊藤大海は力強く右拳を握りしめた。「遠回りしたけど、最短で1勝できた。去年、我慢してやってきた1年が無駄じゃなかった。ご褒美かな」と感慨深げに振り返った。最速151キロの直球で押した。後半も140キロ台後半を連発し、5安打2失点10奪三振で完投した。

 北海道の駒大苫小牧高から、当時は東都大学2部の駒大に進んだが「田舎育ちなので、都会の空気が合わなかった」と、2016年10月に退部した。17年4月に現大学に入学するまでは、無所属のまま地元・鹿部町の体育館で汗を流した。

 入学後も規定で1年間は試合に出場できなかった。「お前は出られないだろ?」という周囲の冷たい視線も感じていた。「今まで野球をやってきた中で一番つらかった。孤独の中でやっていた」。一時は体脂肪率が20%になったが、10キロ減量した後に鍛えて10キロ増量。高校時代の143キロから11キロも球速が上がった。

 2回戦は慶大(東京六大学)と対戦する。「こっち(駒大)にいた時は『北海道の大学なんて』と思っていた。このリーグはレベルが高いというのを見せたい」と胸を躍らせた伊藤。思いの丈を陸の王者にぶつける。(伊井 亮一)

 ◆伊藤 大海(いとう・ひろみ)1997年8月31日、北海道・鹿部町生まれ。20歳。鹿部小2年から「鹿部クラップーズ」で野球を始める。駒大苫小牧高では14年春の甲子園で2回戦敗退。駒大では2部リーグで7試合に登板。今春のリーグ戦は6勝、防御率0・35、奪三振率16・79で最優秀選手賞とベストナインを獲得。持ち球はスライダー、カットボール、カーブ、スプリット、チェンジアップ、ツーシーム。175センチ、80キロ。右投左打。

野球

×