•  スポーツ報知のWebサイト限定コラムがスタートしました。最前線で取材する記者が、紙面では書き切れなかった裏話や、今話題となっている旬な出来事を深く掘り下げてお届けします。皆さんを「ほーっ!」とうならせるようなコラムを目指して日々配信しますので、どうぞお楽しみください。

ソフトバンク・柳田を覚醒させた糸井のティーバッティング

2016年11月30日16時0分  スポーツ報知
  • 阪神入団発表で金本監督に帽子を被せてもらう糸井

 プロ野球オリックスからFA宣言した糸井嘉男外野手(35)の阪神入団が決まった11月21日。「チームのためというか、(若手の)手本になってほしい。スピリットを見せてほしい」。兵庫・西宮市内のゴルフ場で糸井への期待を語っていた阪神・金本知憲監督(48)の言葉を聞きながら、2011~14年に担当していたソフトバンクの「超人」を思い出した。15年にトリプルスリーを達成し、球界の顔に成長した柳田悠岐外野手(28)の覚醒のきっかけは糸井にあるからだ。

 13年の1月だった。福岡・西戸崎練習場(当時)で2月の春季キャンプに向け、自主トレしていた柳田が「糸井さんと電話で話しました」と、憧れの先輩とのやりとりをうれしそうに明かした。その前年に秋山監督(当時)の仲介であいさつしたが、雲の上の存在。だが、当時、柳田が「トリプル2・5(打率2割5分、25本塁打、25盗塁)」なる造語を目標に掲げていた“天然発言”が糸井の目に留まり、関係者を通じての電話につながった。翌14年の年明けには浜松での合同自主トレに参加するまでになった。

 その経験、そして学んだ基礎の重要性が柳田の野球への取り組み方を一変させた。「プロ入りしてからこんなに走ったことはなかった。糸井さんクラスがあれだけやってるんだから自分ももっとやらないといけない」と振り返ったランニングを中心とした練習量は当然のこと、それ以上に目を奪われたのは、ティー打撃での所作だった。

 「1球1球、めっちゃ丁寧に打っていた。自分の場合、慣らしというか、アップ込みで最初の何球か打っていたけど、それでバッティングが崩れる。そう考えるようになった」。練習での1球も無駄にはしないと考え方を改めた。14年には打率3割1分7厘、15本、33盗塁。15年には打率3割6分3厘、34本塁打、32盗塁でトリプルスリーと一流への階段を駆け上がった。

 糸井が柳田の手本になったように、金本監督も福留、鳥谷と並ぶ若虎への“先生役”に指名したのもうなずける。特に体格に恵まれながら伸び悩んでいる“アスリート系”の横田や江越らは糸井への弟子入りは効果的ではないかと感じる。

 「どういう練習をして、どういう気持ちでいれば自分みたいになれるんだと言うのを若い選手たちにたくさん教えてあげて欲しい」と指揮官。その圧倒的な練習量、存在感で阪神を変え、03、05年の優勝に導いた現役時代の金本監督のように。糸井にはプレーで来季、12年ぶりのV奪回の使者になるだけでなく、将来の阪神の礎を築く役割も担って欲しい。(記者コラム・戸田 和彦)

  • 楽天SocialNewsに投稿!
コラム
今日のスポーツ報知(東京版)