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大学野球で仙台育英出身の3人の主将が誕生!日本一を目指し競うライバルへの想い

2017年4月7日10時0分  スポーツ報知
  • 大学野球で主将を務める仙台育英出身の選手たち(左から)東北福祉大・菊名、富士大・小林、立大・熊谷
  • 仙台育英・佐々木純一朗監督

 高校野球の名門・仙台育英出身の大学野球部主将が今年3人誕生した。東京六大学リーグ、立大・熊谷敬宥内野手、北東北大学リーグ、富士大・小林遼捕手、仙台六大学リーグ、東北福祉大・菊名裕貴内野手の3人だ。

 同じ高校から大学へ複数の主将を輩出するのも珍しいが、高校時代の主将は上林誠知(現ソフトバンク)。高校では未経験の3人が主将を務めることは、極めて珍しい出来事だ。

 教え子の躍進に仙台育英・佐々木順一朗監督(57)は「うれしいことですよね。熊谷はプレーで頑張る。菊名は根性で引っ張る。小林は義理人情、浪花節が似合う男らしい性格。頑張って欲しい」とエールを送った。

 立大・熊谷は、俊足巧打の遊撃手で、高校3年夏に台湾で行われた18Uワールドカップの日本代表として準優勝に貢献し、大学では3年からレギュラー。今夏のユニバーシアード大会の大学日本代表候補にもなっている。溝口智成監督(49)は「もともとキャプテンタイプとは思っていなかったけれど、昨年の1年間でグンと成長して、チームでの自分の役割とか影響力を考えるようになった。チームに一体感を持たせるために誰がいいかを考えた結果、指名しました」と説明した。熊谷は「野球になれば厳しく指摘しあってやっていきたい」と抱負を語る。

 富士大・小林は、強肩強打の捕手。入学即、レギュラーとなり、多和田真三郎(現西武)、小野泰己(現阪神)など好投手をリードすることでレベルアップし、熊谷とともに大学日本代表候補入り。入学してからリーグ6連覇中だ。豊田圭史監督(33)は「実績と人間性と練習に対する姿勢と、すべてにおいて見本になる選手。今まで経験したことを若い投手陣にいい意味で残せる立場だと思っています」と期待を寄せると、小林も「自分にあるのは“元気”。声を出してもっと引っ張っていきたい」と意気込んだ。

 東北福祉大・菊名は全部員の投票で、主将に就任した。2015年秋に就任した元西武・大塚光二監督(49)の下でプレーする菊名は「下級生ともコミュニケーションを取って、いろんな意味で全員で野球をやりたい。その環境を整えたい。大塚監督も『みんなで楽しく野球をやったほうがいい』とおっしゃっているので…」と前を向いた。

 仙台育英は3人の主将の他にも、副将を3人輩出している。東北福祉大では鈴木天斗投手が菊名主将を支え、同じリーグのライバル校の東北学院大では水間俊樹内野手が、首都大学リーグ2部の大東大でも福田義基捕手が副将に就任。5大学6選手が“幹部”として活躍している。

 なぜ、仙台育英からこのような人材を輩出できるのか。佐々木監督は「結果はたまたまですよ。この代は個性が強かったという言い方も出来ますね」と話す。その一方で、「(高校時代に)みんながリーダーのつもりでやってきたし、信じてやってきたことが結果につながったのかもしれない」と分析した。

 同校野球部は、主将のほか、練習メニューを決める“助監督”的なGM(グラウンドマネジャー)など、グラウンド内外に多種多様な担当があり、全部員が、責任を持って自分の役割を果たしている。

 また、特徴的なのが佐々木監督が定めた野球部の3つの目標だ。

 (1)いい親父になる

 (2)ウエルカム仙台育英 仙台育英ディズニーランド構想

 (3)飛脚プロジェクト

 「飛脚プロジェクト」は練習中も全力疾走できびきび行動することを求めたもの。「ディズニーランド構想」はホスピタリティーあふれる接客をするディズニーランドに習い、来訪者への笑顔のあいさつや、相手の気持ちを考えた行動、もてなしの心を説く。そして、常にベストを模索して進化し続けていくことを求めている。

 「いい親父になる」の目標を設定した佐々木監督は「『勝つ』という目標ならば、勝ったら終わってしまう。より難しいことを選んで目指してやっていこうと…。人生の指針ですね」と説明している。

 その目標の下で高校生活を送った選手は、2年秋に明治神宮大会で日本一となったが、3年のセンバツは8強、夏の甲子園は2回戦敗退に終わり、高校野球を“卒業”した。そして、3人は進学してからも佐々木監督から投げかけられた言葉を大事にしている。

 熊谷は「(高校時代に下級生で)控え選手だったときに、『試合に出ない時に何をすべきか考えることが大事』と言われた。準備の大切さだったり、そのときでやれることをやる。打てないときには、守備、足を生かしたりとか…。そのお陰で大学に入っても練習とかで戸惑うことはなかったですね」と言う。菊名は「落ち込んだ時に、佐々木先生から『自分の心配はいつでも出来る。人の心配をしろ』と言われた。その言葉を今でも思い出しますね」と自分の殻に閉じこもってしまうことを指摘してくれたアドバイスに感謝している。小林は高校時代にドラフト候補として名前が挙がったが指名漏れで富士大に進学した。「(佐々木監督から)卒業の時に“捲土(けんど)重来”という言葉をもらいました。その言葉をミットに刺しゅうして忘れないようにプレーしています」。

 様々な思いを胸に、キャプテンとしてチームをまとめる3人は、お互いの存在をどう見ているのか。熊谷が「誇りですね。試合で対戦したいです」と話せば、小林は「刺激になります。そのチームには負けられない思いが強い」と言う。菊名も「同じ立場で頑張っているのはうれしいけど、負けたくない」。

 今春のオープン戦では3校の対戦は組まれなかった。対戦の可能性は、全国のリーグを勝ち抜いた優勝校がそろう全日本大学選手権(6月5~11日・神宮、東京ドーム)しかない。

 いよいよ各地で春季リーグ戦が始まる。ラストイヤーに、大学日本一を決める舞台での“再会”を誓い、3人はそれぞれのプライドを秘めて、戦いに挑んでいく。(コンテンツ編集部・高柳 義人)

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