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確固たる自分の世界を持つ東大・宮台投手の変貌

2017年4月18日15時58分  スポーツ報知
  • 東大・宮台の昨年のフォームと新フォーム(右)

 その姿は変貌を遂げていた。4月8日。神宮球場での東京六大学野球春季リーグ・東大―明大戦。今秋ドラフトで1位候補に名前の挙がる東大の左腕・宮台康平(4年)の今季初戦とあり、ネット裏には日米14球団39人のスカウトが詰めかけた。アマ野球を多く取材する私にとっても、宮台の登板を取材するのは自己最速150キロを記録した昨年7月15日の日米大学野球第3戦以来。昨秋は左肩痛のため1登板に終わっており、復活の舞台でどんな結果を残すのか。期待があった。

 しかし結果は4安打7四死球5失点で5回持たず降板。なにより衝撃を受けたのが、一目でわかるほど変わっていた投球フォームだった。1番の変化はテークバック。昨春の写真と比較して見ればわかるが、打者からボールの出所を隠すための左肘のたたみ込みが消えた。また打者に向かって大きく踏み込んでいたステップも以前より浅くなったように見えた。よく言えば省エネ、悪く言えば立ち投げのフォーム。最初は肩をかばうことの弊害かと思ったが、周辺に聞くと自らフォーム改造を決断したとのこと。勝負をかける最終学年を迎え、まずは投げないといけないという責任感、そして昨年なしえなかった02年秋以来の勝ち点奪取への思いが決断を後押ししたのだろう。

 幸い球速に変化はなく、開幕戦でも最速146キロを記録した。ただ、気になるのはこれまで問題にならなかったコントロールに狂いが生じていることだ。8日、明大戦での四死球7に加え、15日の慶大戦でも5四死球6失点で2回持たずKOされた。8日は3球で2死の後から4連続四死球。15日も2回先頭の投手から3連続四球と突然制球が定まらなくなる場面が目立った。宮台のフォームはかつて高校野球部の監督も務めた父と二人三脚で作り上げたと聞く。球の出所を隠したまま打者へ踏み込み、最後は右足一本で立って左足を大きく跳ね上げる宮台のフォームのバランスの良さには、私も何度も感心させられた。宮台を宮台たらしめていたそのフォームをリニューアルさせるには、まだまだ時間が必要ということか。

 忘れられない姿がある。昨年の日米大学野球第3戦の前日。第2戦まで行われた新潟から東京への移動日だった。新潟駅構内で宮台には、他の選手がわいわい集団で行動していたのに対し、ひとり改札口に現れたかと思うと、待合室に直行し新幹線の出発直前まで「債権各論」と書かれた本に没頭していた。自らの日本代表初先発を翌日に控えながら、である。撮影をお願いしたが丁重に断られた。 確固たる自分の世界を持つ選手、それが宮台である。野球は時として一生懸命努力した者が報われないことがある。いやそんなことの方が多い。試行錯誤が結果を遠ざける皮肉な結果を招いている宮台。試練にひとりで立ち向かう男の姿を今後も逐一追っていきたい。(記者コラム・泉 貫太)

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