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ドラフト史上最多指名左腕を投手コーチに招いた男の「今」

2017年10月24日16時0分  スポーツ報知
  • バランス力と下半身鍛える練習具に立ってバット振る元オリックス打撃コーチの水口栄二さん

 26日は運命のプロ野球ドラフト会議。今年は高校通算111本塁打の早実・清宮幸太郎内野手に注目が集まっているが、日本がバブル経済の終焉を迎えようとしていた27年前のドラフトを覚えているだろうか。

 1990年のドラフトは、東都大学リーグで通算28勝を挙げた亜大の左腕・小池秀郎投手が8球団から1位指名を受けながら、交渉権を引き当てたロッテへの入団を拒否して話題となった。小池氏が2年後に入団することになる近鉄が、その年の2位で指名した選手が早大・水口栄二内野手(48、松山商高出)だった。

 「ドラフトの当日は試合もあって、ほとんど意識していなかった。ホントですよ」と笑って話す水口氏。高校3年時に愛媛・松山商の主将として出場した夏の甲子園で今も破られていない通算19本の1大会個人最多安打記録を打ち立て、早大でも4年春のリーグ戦優勝に貢献。プロ入り後は近鉄、オリックスと17年間現役を続け、引退後はオリックスで1軍打撃コーチに。13年から兵庫・西宮市で小中学生対象の野球教室「野球心」を営んでいる。

 プロで通算279犠打を記録した水口氏は「つなぎ役」というイメージが強い。通算1213安打を放ったが、3割を打ったシーズンはない。それでも1軍打撃コーチを任された理由は「プロ最初のキャンプで主力選手のすごい打球を見て、このままでは絶対に通用しないと思った。そこでバッティングに関して学んだこと、気づいたことを毎日ノートにつける習慣を引退まで続けて勉強し、徹底的に打撃理論を研究した」からだという。

 10年パ本塁打王のT―岡田ら若手を育てた経験と知識で「今度は野球少年たちをどれだけ成長させられるか挑戦したい」と意気込んでいる。

 どのようにバッティングを教えているのか? 水口氏に聞くと、少しだけ教えてくれた。「構えは人それぞれなのでああしろ、こうしろと言いません。(コンニャク打法で知られた楽天監督)梨田さんのような構えもあるくらいですからね」とし、「大切なのはバランスと、トップからインパクトへ向かうバットの角度。“入射角”と呼んでいますが、それをマスターするまで2、3か月から半年かかる。次は下半身の使い方。それがまた難しい」と粘り強く子どもと向き合う指導の重要性を強調した。

 練習道具の開拓にも力を入れている。衝撃を和らげる発砲スチロールを球状に加工した約30グラムと軽量のトレーニング球は、近距離から軽く投げただけで浮力が働き「一流投手の直球のキレ、変化球の曲がりが再現できる」。

 細長いビニール製の直方体に空気を入れて膨らませ、中に水を入れた状態でその上に立ち、そこでバットを振ることで下半身とバランス感覚を鍛えるユニークな練習(写真)も取り入れている。この「MONSTER SPIKE」という練習具は近く販売する予定だという。

 野球塾も軌道に乗った今年3月、水口氏は硬式の中学生チーム・兵庫夙川ボーイズを発足させた。部員は31人。なんとピッチングコーチは小池氏が務めている。かつて近鉄でプレーした2人が再びタッグを組んで、プロを夢見る子どもたちを育てていた。「バッティングはある程度メドが立ちましたが、守備がまだまだ。バントはほとんどさせません。しっかりした技術を身につけて、プロで活躍できるような選手に育ってほしい」と水口氏。挑戦は始まったばかりだ。(記者コラム・芝野 栄一)

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