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中日・森監督の「北中米行脚」は今オフ限り…その先に見据える球団の姿

2017年11月8日11時0分  スポーツ報知
  • 中日・森繁和監督

 ちょっとしたスクープである。中日・森繁和監督(62)が今オフ限りで恒例の北中米行脚を取りやめることが分かった。

 中日の投手コーチに就任した2004年オフからドミニカ共和国でウィンター・リーグを視察。ユニホームを脱いでいた12、13年も自費で渡航した。さらに社会主義国のキューバにもルートを拡大。15年オフは米国に出向いてダヤン・ビシエドを、昨オフも同国でアレックス・ゲレーロ(いずれも亡命キューバ人)の獲得に成功した。

 過去にも2度の2冠王に輝いたトニ・ブランコ、11年に10勝(14敗)を挙げてリーグ優勝に貢献したマキシモ・ネルソンら、数多くのラテンアメリカ出身の優良助っ人を発掘。今オフも10月30日に渡航し、3国を股にかけて新外国人選手の獲得に尽力している。

 なのに「今オフ限り」なのである。

 森監督は近い関係者に「デニーに全部引き継ぐつもりだ」と話している。デニーとは編成部国際渉外担当の友利結氏(50)のこと。今回の行脚には、今季途中で投手コーチの任を解かれ、兼任していた“海外スカウト”に専念することになったデニー氏らも同行している。キューバではオマール・リナレス巡回コーチ、ドミニカ共和国では元巨人のドミンゴ・マルティネス在外スカウト。この2氏を軸とした人脈を継承し、自らは直接のスカウトから手を引くのだという。

 理由は監督業と国内移籍の指揮、この2つに専念するためである。昨オフにも「監督になると絶対に出席しないといけないイベントがあるからな。おちおちドミニカにも行ってられないよ」とボヤいていたように、11月末に開催されるファンフェスタやOB会などに合わせて、早めに帰国せざるを得ない。また、同時期に解禁されるFA戦線やトレード市場でも陣頭指揮が執れない。昨オフはFA宣言したDeNA・山口俊(現巨人)との交渉を国外から指示したが、結果的に獲得に失敗した。

 監督業に専念した結果、どうなるか。常識的には長期政権を敷くということにならないか。就任会見で「つなぎの監督」と宣言したのはウソだったのか…。そこまで考えて記者は昨秋、白井文吾オーナー(89)の発した言葉を思い出した。

 「森は根本のまな弟子だからな」―。時期は森監督就任直後。「森監督を根本陸夫氏のような全権監督に据えるのか」との問いに答えたものだった。新指揮官に、西武での現役時代に薫陶を受けた「球界の寝業師」同様、編成面も一手に引き受けるGM兼任監督の座を保証する意図がにじんでいた。

 森監督の「短期政権」は想定通り。おそらく就任2~4年目、つまり18~20年オフにはユニホームを脱ぐだろう。その後は球団OBの“V戦士”に監督の座を譲り、自らは現在、事実上兼任しているGM職に専念することになるはずだ。

 根本氏は実質的GMとして西武の黄金時代を築き、ダイエー(現ソフトバンク)が強豪球団になる土台も作った。大型トレード、アマ選手の囲い込み、他球団の裏をかくドラフト戦略などで大胆な戦力補強を敢行し、「根本マジック」とたたえられた。14年から今年1月末まで在任した落合博満GM体制が必ずしも成功したと言えない中、白井オーナーが近い将来の森監督に求めるのは、根本氏のような「名GM」の姿だ。その第一歩として「北中米行脚、今オフ限り」という決断に至ったということだろう。 (記者コラム・中日担当 田中 昌宏)

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