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メジャーへ旅立つ平野 オリックス投手陣による送別会は金子の帰国待ち

2018年1月18日10時30分  スポーツ報知
  • 自主トレでキャッチボールを行うオリックス・岸田

 みんなから応援されて旅立つことだろう。あらためて、そう思うシーンがあった。昨年12月末のこと。米大リーグ・ダイヤモンドバックスへの移籍が決まった平野佳寿投手(33)は、東京都内のオリックス本社にいた。大阪から自費で午前の新幹線に乗り、帰省ラッシュの人混みをかき分けて。日帰りの強行軍でも「僕をここまで育ててくれたのはオリックス。直接お会いしてあいさつしたかった」と律義な人柄を感じさせた。

 スーツ姿で出向き、宮内義彦オーナー、井上亮本社社長・グループCEOに移籍を報告した。「すぐ(オリックスに)戻ってこい、とは言えないね(笑い)。一年でも長く、向こうで頑張って」と激励したのは、財界一の野球好きとも言われる宮内オーナー。平野は、本社社員のリクエストにも丁寧に応え、サインや記念撮影と笑みを絶やさなかった。

 京産大からドラフト希望枠で入団し、06年のプロ入りから4年間は先発だった。岡田彰布監督(当時)の発想で、10年にリリーフへ転向。私自身、平野に注目したのは12年のシーズンだった。70試合に登板し、79回2/3でたった5四球。最下位に沈んだオリックスで、ひとり気を吐く活躍を見せていた。セットアッパーから抑えに。156セーブ139ホールドと実績を積んだ。

 昨年3月のWBCは追加招集でメンバー入り。「最初はドッキリかな…と思った」と1通のショートメールを2度見、3度見した。「一緒に戦ってほしい」というメッセージを添えていたのは小久保監督。身を引き締め、ここでも謙虚な男らしく「18や21は違うし…」と背番号は最も大きな66を選んだ。大会中の口癖は「僕に注目する人はいないでしょう」。報道陣に呼び止められることも、囲まれることも少なく、自らを高速道路のノンストップ料金所「ETC」と名付けて笑った。

 いい意味で肩の力を抜いて挑んだ国際大会。そこで結果を出し、メジャー球団から関心を寄せられるようになった。海外FA権を行使し「行くなら最後のチャンス」と決心。複数球団の中からダイヤモンドバックスと契約した理由は「最初にオファーをくださったから」と実に誠実なものだった。

 「向こうでアカンかったから、また日本でやれるという考えは持っていません」

 ちなみに、オリックス投手陣による送別会は「(海外で自主トレ中の)金子たちの帰国待ちです。何で(送られる)僕が待ってるんでしょう…」と苦笑い。心優しい男の成功を願ってやまない。(記者コラム・長田 亨)

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