伊藤智仁監督、BCリーグ富山を独立リーグ日本一&観客10倍に

スポーツ報知
表情を引き締め、BC富山の帽子をかぶる伊藤監督

 BCリーグ・富山GRNサンダーバーズに就任した伊藤智仁新監督(47)が13日までに「とやま・いしかわ報知」の取材に応じ、今季にかける意気込みを語った。高速スライダーを武器に、現役時代は1992年バルセロナ五輪やプロ野球(NPB)のヤクルトなどで活躍。引退後はヤクルトのコーチとして14年間、選手を育成してきた。豊富な経験を生かし、選手のNPB入りと、チーム初の独立リーグ日本一を目指す。(取材・構成=中田 康博)

 ―いよいよ監督に就任。周囲の反応は?

 「(元ヤクルト捕手、監督の)古田敦也さんとは年末にゴルフに行きましたが、『独立リーグを盛り上げてこい。おまえ自身も、いい勉強になるから頑張ってきなさい』と言われました。1年に1回は試合を見に行くからと約束してくれたので、来てくれると思います。BCリーグを盛り上げていきたいですね」

 ―理想の監督像は。

 「(歴代のヤクルト監督の)野村(克也)監督、若松(勉)監督、古田監督、真中(満)監督には、今まで勉強させていただいた。いろんな知識を取り入れながら、自分のやりたい野球を目指したい。選手とコミュニケーションを取りつつも、情熱がなかったり、怠慢プレーがあれば、厳しくいこうかなと思っています」

 ―野村元監督に教わったことは?

 「野村監督には野球のイロハを教わりました。練習後に1時間のミーティングが行われ、投手と打者の心理状態や、カウントによる心理状態など、いろいろと話してもらった。ノートに書き写しましたが、現役中よりも、コーチになって見返す方が多かったですね。すごく勉強になるノートで、このくらい(約1・5センチ)の厚さがあります。今度、富山に来る時は持ってきます」

 ―投手の起用法は?

 「基本的に、いいピッチャーは先発してほしいという思いはある。若い有望な選手に限っては、週に1回、先発でしっかりイニングを投げて経験を積んでいくことが大事になる。あとは適性であったり、長所をどうやって伸ばせるか、見分けながらやっていきたい」

 ―選手の育成方法は?

 「NPBではポストシーズンなどを入れると、160試合を戦わないといけない。プロの選手でも、それだけの体力を持っている選手はなかなかいない。BCリーグでは鍛える時間があるのだから、2月からしっかり体力を作って、1年間、戦える体力を作ってスタートしたいですね」

 ―NPB入りを後押しするためには?

 「速い球速のピッチャーや、ボールを遠くに飛ばせるバッターなど、一芸に秀でればドラフト上位にかかりやすいが、そればっかりではない。ホームランバッターばかりではなく、足の速い選手や走塁のできる選手、小技ができる選手など、技術を上げることが大事。球が遅くても勝てる投手もいる。いろんな方法があるので、探していってほしいですね」

 ―富山の思い出は?

 「アルペンスタジアムには何度も行き、大きいグラウンドだなあと思っていました。ヤクルトには中沢(雅人投手=富山商高出)や荒木(貴裕内野手=高岡シニア出身)、田畑さん(一也ヤクルト1軍投手コーチ=高岡市出身)とか、富山県出身の方がたくさんいて、おいしいものを食べさせてもらいました。お寿司屋さんにはしょっちゅう行っていました」

 ―富山には単身赴任ですか?

 「毎日、外食という訳にはいかないので、料理をするとは思います。小学2年の息子は少年野球をやっているが、しばらく会えないのは寂しいですね。本人はいろんなポジションをやっているが、打つ方が好きみたいです…。監督の姿を見せられたらいいですね」

 ―今後、松坂大輔が中日に入団しない場合、サンダーバーズがオファーを送る可能性もあります。

 「来てくれたら、盛り上がること間違いないし、選手の刺激になる。あれだけの選手だから、納得いくまで、やればいいんじゃないかと思います」

 ―今季の目標は?

 「観客は500、600人くらいと聞きましたが、最終的には10倍くらいは入れたいなと、野望を持っています。応援はすごく力になるし、見られていると試合内容の質も上がってくる。独立リーグ日本一を目標に、富山の方が『おらがチーム』だと思ってもらえるようにしたいですね」

 ◆伊藤 智仁(いとう・ともひと)1970年10月30日、京都市生まれ。47歳。花園高を卒業後、三菱自動車京都に入社。92年バルセロナ五輪で銅メダルに貢献。同年のドラフトでヤクルトが1位指名し、入団。93年、7勝2敗、防御率0・91で新人王獲得。通算11年で127試合に登板、37勝27敗25セーブ、防御率2・31。2003年に引退後はヤクルトの投手コーチに就任。183センチ。右投右打。趣味はゴルフとビリヤード。

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