【BCリーグ】栃木・村田、G岡本へ「『自分の背番号にするんだ』という気持ちでやってくれれば」

スポーツ報知
1回1死一、二塁、捕邪飛に倒れ、悔しそうにベンチへ戻る栃木・村田(カメラ・川口 浩)

◆交流戦 栃木13―7千葉経大=特別ルール=(27日・小山)

 2年連続開幕スタメンを勝ち取った巨人・岡本和真内野手(21)に、師匠からエールが届いた。昨季で巨人を退団し、今季からBCリーグ・栃木に移籍した村田修一内野手(37)だ。栃木・小山で行われた千葉経大との交流戦で、2戦連発となる中越え2ラン。長距離砲として覚醒しつつある岡本へ、スラッガーの心得や、レギュラーとして戦い抜くための極意を授けた。

 大きな放物線の行方を、球場の誰もが目で追った。打球がバックスクリーン右へ飛び込む。試合が止まったそのど真ん中で、村田は歓声を浴びながら悠然とダイヤモンドを一周した。「たくさんお客さんが来てくれた中で、ホームランを見せることができて良かったです。あれだけの歓声をもらえてうれしい」。千葉経大との練習試合で、3回無死二塁から特大の2ランをたたき込んだ。戦いの舞台が独立リーグに変わっても、あの豪快な代名詞は不変だった。

 この一発には、新たなスタートを切る岡本へのメッセージが込められていたのかもしれない。村田から背番号「25」を引き継ぎ、オープン戦17試合で4本塁打。15打点は、並み居る強打者たちを抑えて12球団トップだ。阿部とのバトルを制し、「6番・一塁」で開幕スタメンをゲット。村田は「カズマが頑張ってるみたいですね」と笑みを浮かべつつ、「ホームランはやっぱり、野球の醍醐(だいご)味だと思う。自分のホームランを見るために球場へ来てくれている人がいるということを、いつも考えてやっている」と続けた。アーチの魅力を語る言葉はどこか、目を覚まそうとしている後輩へのエールのようだった。

 長いシーズンを戦い抜くためのヒントも明かした。143試合フルに出続ければ、年間で500打席以上の勝負が待っている。7割は凡打に終わるという失敗のスポーツだからこそ、村田は「切り替え」の大切さを強調した。「終わったことは取り戻せない。日が変わればまた、すぐに次の対戦が来る。打者はたとえ4タコでも、次の日に3発打って取り返すことだってできる」。レギュラーをつかみかけている岡本のような立場だとミスを引きずりがちだというが、次のチャンスで挽回することへ切り替えることが、最前線に立ち続けるためには必要になる。

 長距離砲として存在感を見せ始めている岡本は、「スイングスピードが上がってきたと思うし、(投手の球に)振り負けなくなってきた」と手応えを口にしている。大砲らしくなってきた背番号「25」に、前任者の村田も「『自分の背番号にするんだ』という強い気持ちでやってくれれば。阿部さんやマギー、素晴らしい選手がいる。必死で背中を追いかければいい」とうなずいた。スラッガーの後継者が、特大アーチで魅了してくれるはずだ。(尾形 圭亮)

 ◆岡本と村田の師弟関係 岡本にとって、横浜時代の07、08年に本塁打王を獲得した村田は、同じ右打ちの大砲として「ずっと好きだった」という憧れの存在。15年シーズン途中に岡本が高卒1年目ながら1軍昇格を果たすと、当初、三塁という同じポジションを争う形になっても15歳年上の村田が目をかけ、相手投手の特徴や、守備時の心構えなど、ことあるごとに助言を送った。岡本にとって初のオフとなった16年1月には、グアムで坂本、長野、実松、和田も含めて自主トレをともに行った。17年10月、村田の巨人退団が決定すると、一報を知った岡本は「教わったことを無駄にしないで頑張ります」と決意表明。背番号「25」も継承。昨年11月の契約公開時には、村田から2ケタ本塁打をノルマに課されたことを明かし「それぐらいやらないと失礼」と真のブレイクを誓った。

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