【記者の目】決勝のみタイブレーク不採用に高野連の思い「大一番だけは決着を…」

スポーツ報知
06年の全国高野球選手権大会決勝。早実―駒大苫小牧

 日本高野連は10日、今春のセンバツからの採用が決まっていた「タイブレーク」を、夏の全国高校野球選手権大会や地方大会、春・秋の都道府県大会と地区大会でも一律に導入することを決定した。延長13回から無死一、二塁の「継続打順」で開始し、試合の決着がつくまで繰り返す。ただし、決勝では実施せず、延長15回で決着がつかない場合は再試合を行い、再試合では同制度を適用することも決まった。

 2014年から是非が議論されたタイブレーク。高野連は全面的に導入に意欲的だったわけではない。大前提として「最後まで通常のルールで球児に試合をさせてあげたい」という考えがあった。

 13年センバツ準優勝の済美・安楽智大(現楽天)が5試合で計772球。その後右肘を痛めたことが物議を醸した。昨春センバツでは、史上初めて2試合連続で延長15回引き分け再試合に。選手の健康管理や円滑な日程消化の観点から、導入の流れが強まった。だが、導入決定の際に「時代の流れ。やむを得ない」と報道陣に説明する関係者の苦渋の表情が印象に残っている。

 実際に試合を行う監督たちからは、導入に理解を示す一方で「人為的に勝敗を決めるような制度はどうなのか」という反対意見も出ていた。高野連内では、決勝でもタイブレーク採用という提案があったが、決勝は例外とする結論に達した。その背景には「優勝が決まる大一番だけは決着をつけさせてあげたい」という高野連の思いがにじみ出ているように感じる。(前アマ野球担当=種村 亮)

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