彦根東、大胆すぎる“大シャッフル”ほぼ全員コンバート 監督の快気祝いに甲子園2勝だ

スポーツ報知
投手から捕手にコンバートされた彦根東・高内希(手前)は、守備練習で軽快な動きを見せた(カメラ・豊田 秀一)

 第90回記念センバツ高校野球大会は23日から13日間、甲子園で開催される。9年ぶり4度目出場の彦根東(滋賀)は“大シャッフル”で夏春連続出場を決めた。村中隆之監督(49)は「投手以外の全員が、中学で守っていたポジションとは違う」と、選手層が薄い公立進学校は、新チームから大胆なコンバートを敢行した。

 「外野手は全員が元内野手。外野手の経験はないが、ピンポイントで返球できる」。二塁の宇野圭一郎を右翼、遊撃の野崎重太を中堅、投手の岡上士門を左翼へ移した。また、投手で主将の高内希(いずれも新3年)を昨年6月から捕手にした。

 高内は防具さえ着けたことがなかった。新3年生は強肩捕手が不在。指揮官に「誰がやるべきなんや?」と問われると、「まだ投手をやりたかったけど、自分しかいないと思った」と立候補した。

 昨夏の滋賀県大会でベンチ入りした高内は、甲子園では18人の枠から漏れた。練習補助員としてチームに帯同せず、村中監督から「お前は主将をしなさい。学校に残って1、2年生と練習しろ」と翌春のセンバツに向けて準備を進めるように指示された。「宿舎にも入れず、めちゃくちゃ悔しかった」。この経験を糧に昨秋の近畿大会1回戦で2ランを放った。4番の活躍で明石商(兵庫)を破って8強入りし、9年ぶり4度目のセンバツ切符を手にした。

 村中監督は昨年11月、心臓と肺の間の良性腫瘍を取るために手術をした。入院し、1か月以上も練習を見ることができなかった。術後3か月間はノックを禁止され、再開したばかり。高内は「監督がいないときは雰囲気が良くなかった。戻ってきてからチームを変えるために、監督がいろいろしてくれた」と感謝した。同校初の甲子園2勝以上で昨夏を超えれば、何よりの快気祝いになる。(伊井 亮一)

 ◆高内 希(たかうち・のぞみ)2001年2月19日、滋賀・近江八幡市生まれ。17歳。老蘇(おいそ)小1年から「安土野球スポーツ少年団」で野球を始める。安土中ではボーイズリーグの「滋賀野洲ボーイズ」でプレー。彦根東では1年秋からベンチ入り。二塁までの送球最速タイムは1秒9。176センチ、76キロ。右投右打。家族は両親、3学年上の兄・優さんも彦根東で4番を務めた。

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