花巻東・大巻、大谷でもなかった一人部屋で東大合格に集中「人と違ったことに価値」

スポーツ報知
目標が掲げられた寮の部屋を披露する大巻

 第90回記念センバツ高校野球(甲子園)開会式でプラカードを持った花巻東(岩手)の大巻将人外野手(3年)は、ベンチ入りと東大合格の2つの夢を追い、高校生活最後の1年にかけている。

 文武両道を究める。グラウンドでも机の前でも、花巻東・大巻は常に全力だ。目指すは公式戦ベンチ入りと、1年秋に担任から勧められて決意した東大合格。「人と違ったことをするからこそ価値がある」。厳しい道を乗り越えていく覚悟を示した。

 高校進学時、県内屈指の進学校の盛岡一も狙えたが、「野球がやりたい、甲子園に行きたいと考えた」と花巻東を選んだ。現在も学内テストは常に上位。平日は授業終了後、午後4時から練習に参加し、自主練習や洗濯などを経て、勉強できるのは午後11時の点呼後となる。遠征時も移動のバス車内で英単語帳を反復して読むなど、「勉強の量では負けるので、質で勝てるようにしたい」と時間を無駄にしない。

 “特別扱い”も拒んだ。スタッフ陣からは他の選手より先にメニューをこなして練習を切り上げ、勉強時間を確保する提案もあったが、大巻は「チームはみんなで作っていくものだと思う」と固辞した。佐々木洋監督(42)は「彼の夢をお手伝いするのも監督の役目」と、エンゼルス・大谷翔平投手(23)にもしなかった1人部屋を割り当て、勉強に集中できる環境を整えている。

 頑張りを評価され、3月のセンバツでは開会式のプラカード役を任された。大巻は「あれだけお客さんがいる中で歩いたのは初めて。堂々と歩くことだけを心掛けた」と笑顔で振り返った。今度は選手として甲子園に立ち、一つ目の夢をかなえ、次の夢へとつなげていく。

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