札幌第一が28年ぶり2度目全道大会V…柴田猛打5打点

スポーツ報知
3回2死一塁、右越えのダメ押し2ランを放つ札幌第一・柴田

◆高校野球春季全道大会最終日 ▽決勝 札幌第一11―0札幌日大(3日、札幌円山球場)

 決勝で札幌第一が11―0で札幌日大を下し、菊池雄人監督(45)がエースだった1990年以来、28年ぶり2度目の優勝を飾った。主将の柴田颯三塁手(3年)が初回に先制の左中間適時二塁打を放ち、3回には今大会2号の右越え2ランを放つなど3安打5打点の大活躍。2月に急逝した祖父・近江谷邦昭さん(享年80)にも吉報を届けた。先発右腕の近藤匠(3年)も8回1/3を5安打無失点と好投。4試合37得点の強力打線に投手力も備わり、今度は6年ぶりとなる夏の甲子園を目指す。

 スタンドへのあいさつを終え、優勝の実感が湧いた。雄たけびをあげ、ガッツポーズ。控えめだった札幌第一ナインが喜びを分かち合った。1990年にエースとして初優勝に導いた菊池監督は「OBとしてもうれしい。選手がよく頑張ってくれた。中心選手が機能して勢いが出た」と教え子たちをねぎらった。

 指揮官の言葉通り、キャプテンがスイッチを入れた。初回2死二塁。4番・柴田主将が捉えた打球が左中間を真っ二つに破った。「点が欲しい場面。初球を狙っていた」。適時二塁打で先制点をもぎ取ると、もう止まらない。1点リードの3回1死一塁には、低めのスライダーをすくい上げ、右翼ポール際に今大会2号2ラン。「昨日打てなかったので4番として打点を稼ぎたかった」。8回にも2点適時打。3安打5打点の大暴れで札幌日大を沈めた。

 この夏は、甲子園で終わると決めている。今年の2月7日に祖父の邦昭さんが、くも膜下出血で急逝した。昨春のセンバツは応援に来られず、生前は「今年は最後だから応援に行くよ」と楽しみにしていた。突然の別れ―。ひつぎにサインを記した帽子を入れ、前を向いた。母の美奈さん(47)は「甲子園、おじいちゃんに連れて行ってもらおう」と優しく声を掛けたが、「いや、俺が連れて行く」。強い闘志を宿し、昨秋は地区敗退に終わったチームの立て直しを図った。

 今春のセンバツは逃したが、冬場は基礎を見つめ直す“助走期間”となった。体力作りに力を入れ、選手の平均体重は5キロアップ。昨冬は実戦を意識し150キロに設定したマシン打撃も、徐々にスピードを上げたことで、打撃スタイルが固まり、強打もよみがえった。

 全道190チームの頂点に立ち、「自信になる。でも本番は夏。じいちゃんのためにも勝ちたい」と柴田。監督の胴上げは封印した。慢心のない札幌第一ナインが、ここから再び走り出す。(宮崎 亮太)

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