東北・中山「無我夢中」に6安打8K完封

スポーツ報知
金足農に6安打完封勝ちで4強入りし、ガッツポーズで喜ぶ東北・中山

◆春季高校野球 東北大会第3日 ▽準々決勝 金足農0―3東北(9日、青森市営ほか)

 準々決勝4試合が行われ、東北(宮城1位)が金足農(秋田1位)を3―0で破り、準決勝進出を決めた。公式戦初先発の中山翔太投手(3年)が、6安打8奪三振の好投で完封勝利。最速147キロ右腕の金足農・吉田輝星投手(3年)に投げ勝った。弘前東(青森2位)は14―4の5回コールドで山形城北(山形3位)を圧倒。4番の桜庭佑希也中堅手(3年)が、3点本塁打など4打数3安打5打点と活躍した。秋春連覇を狙う聖光学院(福島1位)、八戸学院光星(青森1位)も4強入りした。

 最後の打者を二ゴロに打ち取った東北・中山が、右拳を握りしめて勝利の雄たけびを上げた。これが公式戦初先発の右腕が、6安打8奪三振で完封勝ち。8日の試合でプロ12球団が視察した金足農・吉田との投げ合いを制する投球に、「無我夢中で投げていました」と笑顔で振り返った。

制球力向上へフォーム改造 先を走る同級生2人を追いかける。背番号1の葛岡仁と同18の古川原将真の両左腕は同学年。昨春から主戦の2人に対し、184センチ、83キロの中山は最速147キロの直球を持つが、制球難を克服できずにいた。しかし4月上旬、右腕を少し下げる投球フォームに変えて制球が安定。その腕の振りで投げやすい変化球も身につけ、投球の幅を広げた。

 練習試合でも好投し、つかんだ公式戦先発の機会。「緊張はガチガチにします」と話した中山を救ったのは、小、中学と所属チームが同じだった背番号12の控え捕手・井田優斗(3年)だった。ベンチに戻るたび声をかけ、相手打順や配球面を助言したりイニング間のキャッチボール相手を務めた井田に、「一息入れてくれた」と中山は感謝。我妻敏監督(36)は「まだ信用はしていません」とにやりとしながら、「期待は上がってきている」と貴重な右腕の台頭を評価した。

 打線も好投手の吉田に、9番・阿部真大(なおた)捕手(3年)が2本の適時三塁打で全3打点をたたき出す活躍。2年ぶりの春の東北王者へあと2勝だ。中山は「チームが勝つため、自分も(葛岡、古川原の)2人に入っていけるようになりたい」と決意。中山の成長が東北の頂点、そして夏の甲子園出場へつながってく。(有吉 広紀)

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