メジャーオフの大イベント「ウィンターミーティング」の裏側

スポーツ報知
会場の玄関に飾られたウィンターミーティングの看板

 10日から14日まで米フロリダ州レークブエナビスタで開催されたウィンターミーティング(WM)。メジャー各球団の首脳だけでなくマイナーリーグ関係者も集合する大イベントだ。スター選手の代理人なども集まり、トレードやFA選手の“商談”が次々とまとまるだけが全てではない。用具、グッズ、球場施設、アトラクション、データ提供などのトレードショーに加えジョブフェアもある。WMを取材した2人の記者が、一大事業を大いに振り返った。(構成・小谷 真弥、一村 順子)

 FAやトレードの交渉で注目のWMのもう一つの目玉は、トレードショーだ。大会場で開催される展示会で、今年は175社が出展。参加企業はバットやグラブの野球用品、ユニホームなど衣料会社はもちろん、球場の椅子、ロッカー、セキュリティー、照明、電光掲示板、トンボや白線から、球場販売のアイスやホットドッグの食品会社、ファンにプレゼントするボブルヘッドやタオルなどのグッズ系、チケット等の印刷会社、チャンピオンリングを扱う宝石店など野球産業を支えるあらゆる企業であふれかえる。

 日本の企業も参戦。オリジナル応援グッズ製作企業の松葉インターナショナル(静岡)がブースを構え、ヤンキース・田中将大投手の似顔絵を使ったTシャツなどを展示していた。ひときわ目を引いたのは、打撃練習のバーチャルリアリティー会社「モンスターフル」。球種、コース、球速が設定でき、ゴーグルをつけてセンサー付きバットを振る。大リーグ投手のデータも内蔵し、例えば、田中投手の外角スプリットと設定すると、モーションと軌道が再現できる。「娯楽レベルではなく、その日の先発投手を設定して試合前の打撃練習に使える」とシムズ担当者は自信満々だった。

 もう一つの大きなイベントはジョブフェアだ。球界関係者がFA、トレードを含め、あらゆる商談をまとめる一方で、中庭通路を挟んだ反対側のビルには、球界関連の仕事を探す人でごった返している。

 あらゆる球界関係の仕事で面接が開催されており、セミナーや講演会なども多い。参加者は、ネクタイ姿で4日間の就職活動を展開する。今回行われたセミナーは全部で24もあった。メディア関連では、SNSを使った情報発信、ライセンシー関連、マーケティング部門では、チケット&グッズ販売、協賛者の募り方や来場者プレゼントなどのプロモーションなど多岐にわたる。

 選手だけではなく、フロント組も、まず、最初の一歩はマイナーリーグのインターンなどから出発し、昇進を重ねてメジャー昇格を狙うピラミッド構造が確立されている。

 WM中のGMは、朝から晩まで他球団や代理人と交渉を行う。1日の終わりに地元の番記者を対象にGMの取材対応機会を与える球団も多く、レッドソックスのドンブロウスキーGMの囲み取材に参加してきた。 スイートルームはソファなどが端に撤去され、20人ほどが座れる会議椅子が並ぶ。隣のキッチンには、コーヒーポットが置かれ、ペットボトルのケースも山積み。バナナやクロワッサンなどの軽食もあり、食事はほとんどルームサービスで済ませてしまうという。まさに缶詰め状態で会議をこなすため、朝一番のホテルのフィットネスセンターに行くと、意外と関係者がトレッドミル(ランニング用機械)で汗を流している姿をみる。フロント陣も体力勝負の4日間なのだ。

 ◆ウィンターミーティング 古くは1876年にスタートした米野球界最大のイベント。アメリカン、ナショナルの2大リーグとなった1901年から毎年行われるようになった。今年もマーリンズの2冠王スタントン外野手が当地でヤンキース移籍会見を行ったように、トレードやFAの商談が執り行われることが多い。また、野球殿堂入りの発表も初日に行われ注目を浴びている。野球に携わる関係者数千人が集まると言われるだけに、近年は巨大なリゾート系のホテルで行われることが通例だ。

野球

×