イチロー、古巣マリナーズ復帰…エンゼルス大谷との対戦は「投手で」

スポーツ報知
マリナーズの入団記者会見でユニホームを手にするイチロー(左はディポトGM)

 【ピオリア(米アリゾナ州)=小谷真弥】マーリンズからFAとなっていたイチロー外野手(44)が7日(日本時間8日)、マリナーズと正式に1年契約を結んだ。米複数メディアによると年俸75万ドル(約8000万円)で、打席数などに応じた出来高は最大125万ドル(約1億3000万円)。背番号は「51」に決定し、8日(同9日)からキャンプに合流の見込み。マ軍キャンプ施設で入団会見を行ったメジャー最年長野手は、6季ぶりの古巣復帰やエンゼルス・大谷翔平投手(23)との対決への意気込みなどを冗舌に語った。

 慣れ親しんだ故郷に帰ってきた。マリナーズへの6季ぶり復帰会見。イチローは黒のスーツに身を包み、前だけを見据えて切り出した。

 「このユニホームを着てプレーしたい気持ちが心のどこかに常にあったけど、自分から表現することはできなかった。でも、こういう形でシアトルでプレーする機会を頂いた。01年に大リーグでプレーすることが決まった時の喜びとはまったく違う感情が生まれました。とてもハッピーです」。手元には51番のユニホーム。自然と白い歯がこぼれた。

 歴史的なFA市場の停滞などを受け、移籍先決定が難航。昨年12月に自らを「ペットショップで売れ残った犬」と自虐的に表現したが、当初からメジャー一本。開幕まで1か月を切っても「泰然」としていたという。「迷うことはなかった。メジャーでやる気持ち。これのみでした」と振り返りつつ「僕自身としては泰然とした状態だったと思います。(泰然は)選手としても人間としても目指すべき状態。そういう自分に出会えたことは、とてもうれしかった」。空白の124日間は決して無駄ではない。

 マリナーズでは2004年にシーズン最多262安打を記録するなど輝き続けた。ヤンキース、マーリンズではベンチスタートも経験。ギャメルら故障者続出で開幕スタメンと期待される今季は「力になれるのであれば何でもやりたい」と言い切る。「一番大きく育ってしまった犬を優しく迎えてくれた。今まで培ってきた全てをささげたい。忠誠心が生まれるのは当然のこと」と自身の集大成をぶつける覚悟だ。

 エンゼルスの大谷という発奮材料もある。これまで複数回会食するなどプライベートで親交があり、エ軍移籍決定時には大谷からメールをもらったという。今季の直接対決は19試合。「まだ翔平がプレーしているところを実際に見たこともないんですね。まず見てみたい。『誰が見ても世界一の才能と言ってもいいだろう』とよく聞きます。実際に見たことはないけど、僕もそう思います。そんな選手との対戦は野球の醍醐(だいご)味の一つ。必ず実現させたい」と意欲。最後には「できれば(イチロー自身が)投手で対戦したい」と真顔で話して報道陣の笑いを誘った。

 サービス監督は8日から3、4日間の練習を見てオープン戦の出場時期を決める方針を示した。週末には実戦形式の打撃練習を用意。シーズン開幕後は週に4、5日の出場とレギュラー格として期待した。50人ほどの報道陣が詰めかけた会見場や球場のスクリーンには、マリナーズのユニホーム姿と「お帰りなさい」の文字が並んだ。「シアトルのファンの方々から『お帰り』と心から言ってもらえるような自分でありたい。できるかどうかは僕次第。日々励みたい」。希代の天才打者のメジャー18年目がいよいよ幕を開ける。

 ◆1995年と同じ年俸 イチローのベースの年俸は75万ドルで渡米後最低。日本円では約8000万円となり、オリックス時代、初めて首位打者を獲得した翌年の95年の年俸とほぼ同額。これに出来高として150打席から350打席まで50打席ごとに20万ドルが加算される。400打席到達なら25万ドルが加わって最大125万ドルとなり、総額は最大でもマーリンズ時代の昨季まで3年間の年俸200万ドルとなる。

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