受難の1年乗り越えた西武・森友哉、正捕手へ決意の年が始まった

スポーツ報知
西武・森友哉捕手

 西武・森友哉捕手(22)にとっては、受難の1年だった。開幕前の3月5日、WBC強化試合・キューバ代表戦(京セラD)で死球を受け、左肘を骨折。1軍復帰には約5か月半を要し、「全力で野球ができない。何もできない時間が続いたので、おもしろくないなと思ってました」。契約更改交渉後の席で、長かったリハビリ期間を振り返った。

 1軍出場はプロ入り最少の38試合。悔しさが残ったであろう1年間を取材していて、印象的だった言葉がある。8月20日、敵地・札幌Dでの日本ハム戦終了後、食事をしていた森が静かに口を開いた。

 「たむさんに申し訳ないです。もっとほかにできたんやないかなぁ…」

 この日、バッテリーを組んだ田村が2回3失点を喫し、試合後に2軍降格を告げられていた。1歳上の先輩投手をリードできなかった悔しさから、普段は弱音など吐かない強気な男が肩を落とす姿があった。

 今オフ、森は自ら志願して豪州で行われたウィンターリーグに参加。捕手としての実戦経験を積むことに力を注いだ。テーマは「コミュニケーションを取ること」。明るく、先輩からもかわいがられる性格の持ち主だが、意外にも「野球になるとかしこまってしまう部分があった」。弱点を克服するため、異国の地で毎イニング投手の元へ足を運び、関係構築に取り組んだ。

 打力、守備力、観察力など捕手に必要とされる能力は多いが、欠かすことができないのが統率力などの技術面以外の能力。正捕手としてチームをまとめるためには、どんな場面でも投手、野手から信頼してもらえる関係を築かなければならない。今季、チームメートを救えなかった“悔しさ”が、意識改革への行動につながった部分もあったのだと思う。

 リスタートを期すプロ5年目は「打てる捕手」としての正捕手獲りを目指す。「前からずっと言っていることなんですが、キャッチャーとしてレギュラーを取るつもりでやりたい」。森が成長した分だけ、チームは10年ぶりの日本一に近づくはずだ。悔しさを味わい、決意を固めた男の活躍に期待している。(記者コラム 西武担当・小島 和之)

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