圧倒的なパワーの源「お袋に恥をかかしちゃいかん」…担当記者が見た燃える男・星野仙一

スポーツ報知
楽天練習の視察に訪れた星野仙一副会長(左)。右は梨田監督(2017年)

 星野氏は選手、監督として30年以上、球界を引っ張ってきた。スポーツ報知の担当記者が当時のエピソードを交え、燃える男・星野仙一の人柄に迫った。

 ◆安藤宏太(現楽天担当)

 パワーの源はなんなのか―。1990年生まれの私にとって、現役時代を見ていなければ、楽天担当も1年目。それでも「闘将」としての圧倒的なエネルギーの持ち主だということは当たり前のように分かった。

 昨年8月下旬。都内のカフェで約1時間取材する機会に恵まれた。本題はほどほどに、たばこを吹かしながら昔話に花を咲かせる中で、少しだけ語気を強めたのが、記憶に残っている。

 「母子家庭の子というのは、お袋に恥をかかしちゃいかん、悲しませちゃいかんという気持ちを持っている。わしもそうじゃった」

 星野副会長は母・敏子さんに女手ひとつで育て上げられた。そして監督になってからも中日・近藤、楽天・銀次ら母子家庭の選手をかわいがった。思えば昨年10月のドラフトも7選手中2人が母子家庭。最後の最後に指名した7位・寺岡(BC石川)もそうだった。最後まで信念を貫いた。

 1月中旬には担当記者で誕生日を祝うのが毎年恒例。プレゼントの最後に愛煙するたばこ2カートンをこっそり渡すのもお決まりだった。昨年、初対面だったため名刺とともに手渡すと「俺を殺す気か!」とその日一番の大笑いでうれしそうに、受け取ってくれた。せめて今月22日の誕生日をもう一度祝いたかった。

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