【オリックス】育成4位フェリペ、強肩武器に支配下そしてゴールデングラブ賞目指す

スポーツ報知
新人合同自主トレで走るオリックスのフェリペ

 御殿場西高野球部の木須デソウザ・フェリペ捕手(3年)がオリックスに育成4位で指名されて入団。8日から大阪市内の寮で新生活をスタートさせた。登録名はフェリペ。チームで1番大きい背番号130から、まずは支配下登録を目指すルーキーに、新年の抱負を聞いた。伝わってきたのは「御西愛」だった。(構成・里見 祐司)

 ―オリックスの施設は

 フェリペ「本当にいいです。グラウンドは人工芝で両翼100メートルあります。選手寮も新しく、部屋が広くてビックリしました」

 ―卒業式まで静岡には帰らない

 フェリペ「寂しいですね。3年間クラス替えがなかったんですが、みんな明るくて楽しいクラスでした。いつも頑張れよ! って言ってくれて。夏の大会も富士球場まで応援に来てくれました。早く1軍に上がって、みんなを招待したいです」

 ―そもそも、なぜ御西に

 フェリペ「中学の部活を引退したあと、Kボールのクラブで続けていたんですが、監督さんが御西のOBで。それで当時の監督が見に来られて誘われました」

 ―御殿場の寒さは

 フェリペ「最初はビックリしました。でもすぐに慣れました。寮は暖房が効いているので、冬でも半袖と半ズボンです。富士の実家に戻ったときに外を走ったら、暑くて驚きました」

 1年秋からレギュラーを任されて県大会に出場。そして2年の9月に森下知幸監督(56)が就任する。07年春には常葉菊川をセンバツ優勝に導いた名将だ。

 フェリペ「野球に対する考え方がガラッと変わりました。配球も3イニングごとにパターンを変えたり。前はどの打者も抑えようと思っていましたが、打ちそうな打者は打たせてもいい、と。タイムの取り方も教わりました」

 ―バッティングも

 フェリペ「フルスイングしているつもりでしたが、全然違いましたね。栗原健さん(菊川OB、亜大1年)が来て見本を見せてくれたんですが、すごかった。あのバッティングに近づきたいと思って冬は毎日、打撃練習。手袋が3日でボロボロになりました」

 ―富士市生まれ

 フェリペ「父がブラジル人で、母の父は日本人です。両親とも日本に来て20年以上になります」

 ―ポルトガル語は

 フェリペ「ほんの少し。普通の会話なら。家族は日本語で話しています」

 ―英語は

 フェリペ「全然ダメなんです(苦笑い)」

 ―ブラジルには

 フェリペ「一度も行ったことがないです」

 ―ブラジルといえばサッカーだけど

 フェリペ「父はサッカー大好きです。夜中にパソコンで海外のサッカーを見ていて、いつも母に怒られています。でも自分は小学3年まで水泳をしていて、4年生のときに友達と見学に行ったら楽しくて、野球を始めました。オリックス入団が決まってからは、父もテレビでプロ野球を見るようになりました」

 ―贈り物は

 フェリペ「まだ決めていません。でも新入団発表があって家族で大阪に行ったとき、父が腕時計をプレゼントしてくれたんです。心斎橋で買ったそうです。入団祝いだ、といって。うれしかった。大事にします」

 2年秋、3年春とも県大会に届かず、夏も2回戦で静岡学園に敗れた。しかし二塁への送球タイムが1・8秒という強肩がプロの注目を集めていた。

 フェリペ「夏の大会後も毎日死ぬ気で練習していました。プロになるんだ、という思いでした」

 そんなフェリペの練習相手となり、激励し続けてくれたのが、昨年4月に赴任した竹内健人コーチ(25)だった。森下監督の教え子で、主将を務めた菊川3年夏は県準優勝。亜大卒業後は、八戸学院大でコーチを務めていた。

 竹内コーチ「森下監督といつも話し合っていたのは、御殿場という地域を盛り上げたい、ということ。そのためにもフェリペにはプロに行ってほしかった。赴任前の12月に彼を見たとき、潜在能力の高さに驚きました。こんな選手が御殿場にいたのか、と。プレッシャーもあったと思いますが、よく頑張ってくれました。筋トレもバッティングも、やればやるだけ伸びていきました」

 そんな周囲の期待にフェリペは応えた。御西は92年春のセンバツに出場。当時の2年生エースがロッテで活躍した小野晋吾さんだが、甲子園にはそれ以来出ていない。ドラフト指名選手も、24年ぶりだった。

 フェリペ「プロに行けば御西が変わる、と言われていました。これから野球部が強くなって、プロ野球選手が次々と出て、甲子園の常連校になってほしい。自分のプロ入りが、その第一歩になれば最高です」

 ―どんな2018年に

 フェリペ「1日1日を大切にして、1日も早く支配下登録されたい。まず1年間もつ体を作りたいです」

 ―体重は

 フェリペ「もっと増量して、78キロから80キロまでいきたいですね」

 ―体脂肪は

 フェリペ「12月の健康診断では8%でした。でも明徳義塾の西浦颯大選手(ドラフト6位)は4%だそうです」

 ―目標は打てる捕手

 フェリペ「ソフトバンクの甲斐(拓也)選手のように育成からはい上がって、いつかはゴールデングラブ賞を取りたい。将来はオリックスの正捕手になって、みんなから憧れられる選手になりたいです」

 同じ静岡県東部地区、飛龍高の比屋根彰人内野手もオリックスから育成3位で指名され、入団した。「これから頑張って2人で支配下に上がろう」と話し合っているという。未知数の可能性を秘めたフェリペのプロ生活に注目だ。

 ◆木須(きす)デソウザ・フェリペ 1999年9月4日、富士市生まれ。18歳。丘小4年で野球を始め、岳陽中時代は1番・捕手。御殿場西では1年夏からベンチ入り。176センチ、73キロ。右投右打。血液型O。遠投100メートル。家族は両親、姉2人と弟。

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