【阪神】金本監督“ご縁”で殿堂入り「星野さん面と向かって報告したかった」

スポーツ報知
亡くなった星野仙一さんのレリーフには花が飾られ、じっと見つめる金本監督(カメラ・竜田 卓)

 金本監督は穏やかな口調で言葉をつないだ。「非常にご縁のある、きょう一日ですね」。プレーヤー表彰から候補入り1年目で殿堂入り。1960年のスタルヒン氏、94年の王貞治氏ら過去に4人しかいなかった名誉で、同じ年に移籍と引退を経験した松井秀喜氏とともに選ばれた。

 1492試合連続フルイニング出場の世界記録は誰もが知るところ。広島時代にトリプルスリーを達成し、FA移籍した阪神でさらに選手としてステータスを上げた。加入1年目の03年、18年ぶりのリーグ制覇に貢献した。当時の監督は今も感謝してやまない恩人、4日に亡くなった星野仙一さん(享年70)だった。

 「去年、星野さんが選ばれて、入れ替わるように自分が…。面と向かってご報告したかったですね」。殿堂博物館ではレリーフの前で写真撮影。「残念ですね。本当に…」とつぶやくと「親戚のおじちゃんも去年、亡くなって…」と悲しい別れを打ち明けた。

 広陵高の先輩でもある「おじちゃん」は、野球を始めるきっかけを与えてくれた。昨年11月の秋季キャンプ中に訃報を聞いた。「野球というスポーツはキリがない。プロ野球があって、名球会、その上に殿堂がある。そこまで向かって頑張れ」―。記憶を思い返し「おじちゃんの言葉通りになれた」。いい報告ができそうだ。

 中学2年で初めて買ってもらったグラブは原さんモデル。「松井の顔を思い浮かべながらスイングしたこともあった」と猛練習を懐かしみ「東京ドームの看板に当てたのは僕の方が先だから」と少しだけ胸を張った。どんな時でも全力疾走。1002打席連続併殺ゼロのプロ野球記録は一番の誇りだと言った。唯一無二の鉄人も、今は指揮官。運命に感謝し、13年ぶりの優勝で花を添える。(長田 亨)

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