ノムさん涙「ありがとう」サッチー 「いなくなって色んなことを感じています」

スポーツ報知
亡き愛妻・野村沙知代さんの思い出を涙ながらに語る克也氏(カメラ・池内 雅彦)

 野球評論家の野村克也氏(82)の妻で、先月8日に心臓疾患の虚血性心不全で亡くなったタレントの野村沙知代さん(享年85)のお別れ会が25日、東京・紀尾井町のホテルニューオータニで執り行われた。野球、芸能関係者ら約1000人が参列。前触れもなく妻に先立たれた克也氏は涙をぬぐいながら「いい奥さんでした」「これから先、どうして生きていけばいいんだろう」と癒えぬ悲しみと喪失感を吐露した。

 思い出を語れば語るほど、悲しみがこみ上げてきた。お別れ会が終わった後、克也氏の瞳から涙があふれ出た。もう最愛の妻に声をかけることはかなわない。

 「一言、ありがとうしかない。これから先、どうして生きていけばいいんだろうというのが、今の正直な気持ちですけど…いい奥さんでした」。無数のカメラの前で、何度も涙を拭った。

 バラやカーネーションなど9000本の花で彩られた祭壇。派手好みの沙知代さんらしい華やかさだ。笑顔を浮かべる遺影に向かい、最期に残した一言が鮮明によみがえる。

 沙知代さんは自宅で倒れ、克也さんは隣室から駆け付けた。「背中をたたいて『おい、大丈夫か!』って言ったんですけど、たった一言『大丈夫よ』と。強気の言葉が返ってきて。それが最期」。亡くなる直前まで強くあった妻を脳裏に浮かべた。

 キレのある毒舌は芸能界でも強烈な存在感を発揮した。衆院選立候補や学歴詐称疑惑、脱税など、波乱万丈すぎる生涯を送った。世間からバッシングに遭うことも多かったが「奥さんとすれば、すごい頼りになる。どんな危険に直面しても、マイナス思考は絶対にない。『大丈夫よ』。これで片付けてしまう。その一言で随分助かった」。誇らしい、自慢の妻だった。

 お別れの会には約1000人が列をなし、花をささげた。「うちのサッチーさんがこんなに人気あるとは。集まった人を見て、やっぱり女房ってすごいなと思いました。ましてや、こんなにも報道陣を集めるわけですから。俺が死んだら、こんだけの人が集まるのか」。失って、妻の存在の大きさが、さらに身に染みた。

 「世界で一番や 女房よ」―。会場には沙知代さんが作詞し、克也氏が歌う「女房よ」(09年)が何度も流された。目に見えて弱る克也氏の姿に、周囲からは今後を心配する声も相次いだ。「心の整理がなかなかね。生きている時に何でこういう思いが出来なかったのかと。人間の勝手さというか。いなくなって色んなことを感じています」。かけがえのない存在を失った悲しみは、あまりに深い。(畑中 祐司)

 ▼主な参列者【野球界】飯田哲也、池山隆寛、石井琢朗、伊藤智仁、江本孟紀、王貞治、岡島秀樹、岡林洋一、小川淳司、柏原純一、門倉健、衣笠剛、斉藤宜之、G.G.佐藤、嶋基宏、清水隆行、杉山賢人、高津臣吾、田畑一也、辻発彦、土屋恵三郎、中谷仁、中西親志、梨田昌孝、西俊児、野間口貴彦、橋上秀樹、古田敦也、松井優典、真中満、三木肇、宮本慎也、森脇浩司、山中正竹、山部太、山本浩二、吉井理人、渡辺直人【芸能界】加藤和也、栗原由佳、周防正行、中村玉緒、萩本欽一、和田アキ子【その他】二階俊博(自民党幹事長)、志太勤(シダックス最高顧問)=敬称略

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