【楽天】昨季本拠地で1勝の岸、仙台で「いいところ見せる」

スポーツ報知
試合前、東日本大震災の犠牲者に黙とうをささげる楽天ナイン(カメラ・馬場 秀則)

◆オープン戦 楽天3―0中日(11日・倉敷)

 東日本大震災から7年となった11日、プロ野球の各球団は試合前に黙とうをささげ、各選手は犠牲者や被災地を思い、プレーした。東北を本拠とする楽天は中日とのオープン戦前に半旗の下、1分間の黙とうをささげ、復興支援を目的に梨田監督や則本らが募金活動。先発して4回無失点だった岸は、昨季1勝だった本拠地で、より多くの白星を重ねると誓った。

 楽天ナインはさまざまな思いを胸にグラウンドに立った。先発した宮城県仙台市出身の岸は4回2安打無失点。100キロ台のカーブを有効に使いながら中日打線を手玉に取った。キャンプ中に全球種でストライクを取ることをチームとして取り組み「全部の球種でストライクを取れたので、やってきたことができたかなと思う」と納得だった。

 昨年、西武から生まれ故郷を本拠地とする楽天にFAで加入。16年11月の入団会見では「僕ができることなら何でも力になりたい」と熱い思いを口にした。8勝した昨季、ホームでは1勝のみ。そして巡ってきた3月11日の登板。故郷に恩返しをすべく「僕も東北、宮城の出身なので、まずは野球でいいところを見せられたらなと思います」と短い言葉に思いを込めた。

 「9番・遊撃」でオープン戦初先発した高卒新人・西巻にとっても忘れられない一日になった。福島・会津若松市出身で小学校時代は車で2時間かけていわき市の小名浜少年野球教室に所属。小学5年で経験した震災直後は約1か月間野球ができなかった。この日は4打数無安打に終わったが「あれから7年は本当に早いと思う。鮮明に覚えている」と感慨深そうに話した。

 震災直後の嶋の「見せましょう、野球の底力を」というスピーチは忘れられることはない。この日は試合前、梨田監督、岩手・普代村出身の銀次らが募金活動を行い、26万114円を集めた。ナインの訴えは7年がたった今でも続いている。

 西巻「笑顔を与えられるようなプレーをしたい」

 銀次「一生忘れてはいけない。選手が一体となって東北を盛り上げたい」

 嶋「もう一回楽天が東北にあるという意味を考えて選手全員で優勝して、もう一回東北を盛り上げたい」

 そして、チーム全員の思いを指揮官が代弁した。

 梨田監督「しっかりした野球をみんなに見せようという思いで今日は戦いました。ファンの皆様とともに戦いたい。東北にぜひ優勝、日本一を持って帰りたいです」(安藤 宏太)

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