【ヤクルト】村上、神宮デビューでマルチ!ドラ1が1日限定1軍体験で逆転呼んだ

スポーツ報知
2回2死、村上が遊撃内野安 打を放つ(右は武田=カメラ・頓所 美代子)

◆オープン戦 ヤクルト7―6ソフトバンク(18日・神宮)

 ヤクルトのドラフト1位ルーキー・村上がソフトバンク戦でオープン戦初出場。神宮デビューでいきなり2安打を放った。九州学院高(熊本)では“肥後のベーブ・ルース”の異名を誇った高校通算52発の強打者。2回に武田から遊撃内野安打を放ち、3―6の7回先頭では左腕・飯田から左前打で逆転につなげた。新入団選手を紹介するイベントに合わせて起用され、今後は再び2軍で経験を積むが、神宮の杜(もり)に新風を吹かせた。

 2万5137人の大観衆にも、村上は臆することはなかった。1日限定の1軍体験で、相手はいきなり武田。2回2死の初打席でチェンジアップをたたきつけると、打球は高いバウンドの遊撃内野安打になった。熊本から来た家族に“プロ初安打”を贈り「良かったです。これからの自分の野球人生にプラスになるかなと思います」と声を弾ませた。

 7回も先頭で左前安打。ミレニアム生まれの新星が、この回3点差を逆転する口火を切った。「相手がすごいピッチャーでも、打ってやるぞという気持ちを持って打席に入っています」。高校通算52本塁打を放ち、松井秀喜級の期待を込められて背負う55番。負けん気の強さが、2軍で4番に座る18歳を支えている。

 名球会入りしたレジェンドたちも称賛を惜しまない。石井打撃コーチは「堂々としているし、高卒で最初から振っていけるのはすごい。筒香(DeNA)とかぶる」と日本の4番を重ねれば、米国から7年ぶりに復帰した青木も「信じられないね! あれだけ落ち着いて…。まだまだいけると思う」と将来性に太鼓判を押した。

 自分を強く持っている。日本ハム・清宮ら同級生についての質問も多いが、答えはいつも同じだ。「それどころじゃない。自分がやるべきことをしっかりやりたい」。1日に九州学院高を卒業。節目にも浮かれることなく「(プロ入りの実感は)1月から変わりはないです」。プロの覚悟はとっくに固まっている。

 入団後に捕手から三塁に転向。試合前練習では宮本ヘッドコーチとキャッチボール。20日から2軍に戻る上で、課題を確認した。座右の銘は「臥薪嘗胆(がしんしょうたん)」。「早く1軍に上がるのが目標。ここで早くホームラン、ヒットを打ちたいと思いました」と金の卵。近未来の主砲が、幸先良くプロの一歩を踏み出した。(田島 正登)

 ◆恩師の九州学院・坂井宏安監督、快足アピールできて良かった

 ―オープン戦初出場で2安打のデビュー。

 「初打席の内野安打がうれしいです。どうしても強打が注目されますが、50メートル走を6秒1と走れる選手。足を公の場でアピールできたのはよかったですね」

 ―7回先頭は左腕・飯田から左前安打を放った。

 「左打ちですが、左投手を全く苦にしないんです」

 ―逆転への流れを作る一打。

 「そういうのを持ってる子なんですよ。1年夏の熊本大会でも初戦で4番を任せたら、バックスクリーンへ満塁本塁打を打ってましたから。すごく努力する選手なので、運も味方してくれるのだと思います」

 ―高校通算52発。初アーチが待ち遠しい。

 「本人は本塁打よりも打点にこだわっていました。チームの勝利に貢献することを一番考えている選手ですから。熊本にいい知らせを届けてほしいですね」

 ◆村上 宗隆(むらかみ・むねたか)

 ★生まれとサイズ 2000年2月2日、熊本市生まれ。18歳。188センチ、97キロ。右投左打。年俸720万円。独身。

 ★球歴 九州学院高(熊本)では1年夏に「4番・一塁」で甲子園出場。1年秋から捕手。3年夏は決勝で敗退。17年ドラフトでは外れ1位でヤクルト、巨人、楽天が競合の末、ヤクルトが交渉権を獲得。

 ★こだわり? 食事に困らないはずの寮の自室に、冷蔵庫を持って入寮。「鮮度が命なので」

 ★バット 1月の新人合同自主トレ中に雄平からグリップが太いDeNA・筒香のバットを譲り受けた。普段は西武・松井モデルを長く細くしたものを使用。

 ★趣味 サイクリングと映画観賞。最近はクリント・イーストウッド監督の「15時17分、パリ行き」を絶賛。

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