山本浩二氏、お別れの会で親友・星野仙一氏に7分52秒語りかける…弔辞全文

スポーツ報知
弔辞をよむ山本浩二氏

 今年1月4日に膵臓(すいぞう)がんのため70歳で亡くなった楽天・星野仙一副会長のお別れの会が19日、都内で行われ、大学時代から親交のあった元広島監督の山本浩二氏(71)が弔辞を述べた。法大のスラッガーだった山本氏は明大でエースを務めた星野副会長と東京六大学からライバルとして戦い、2008年の北京五輪では星野監督の下で守備走塁コーチとして支えた。

 台本などは使わずに語りかけるようにして、ゆっくりと言葉を選びながら7分52秒だった弔辞は以下の通り。

 「仙、まだ信じられないよ。去年のパーティーで疲れているんじゃないかなという思いがありました。1月に訃報を聞いたときに、まさか…。さみしくて、悔しくて、今でも信じられません。50年の付き合いになるんだよな。よきライバル、そしてよき友として、張り合って来ました。現役時代は、移動日になると、お互いの家に食事に行き、何の変哲もない話ばかりして、子供たちも大変世話になりました。監督時代、チームを率いるんだから、付き合いはやめようと約束をして戦いました。考えてみればいつも、負けたくない気持ちをお互いをもっていたんじゃない。ただひとつ、若い頃、田淵と3人で食事をしているとき、『いつか一緒のユニホームで戦いたいな』と。その戦いたいユニホームが北京オリンピックでした。監督の要請があったときにすぐに電話をくれて、『一緒にやるぞ』と。残念ながら、メダルは獲れませんでした。しかし、あの間の、1年半、非常に充実した、そして、周りからの批判もあるかも分からないけど、がむしゃらにやろうじゃないかという話をしました。相手の国の視察、予選の前の合宿、それから本戦まで気の抜けない毎日でした。普通の監督だったら、3人ではできなかったかもしれない。星野仙一の心の広さ、懐の深さをしみじみ感じました。改めて、星野仙一はすごいやつだったんだなと。そのすごい奴を50年間、友として、付き合ってくれて、本当に、ありがとう。今日もたくさんの人がお別れに来ている。全国の人が、別れを惜しんでいる。すごい人間だった。この笑顔は、忘れられないよ。ケンカ早い仙が、本当は心の優しい奴なんだというのは、皆さんがもう知っている。今頃、亡くなった扶沙子さんと楽しくやっているんだろうな。家族を愛し、チームを愛し、ファンを愛し、野球に恋をした星野仙一。友でよかった。ありがとう。安らかに」

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