駒大苫小牧・白田、天国の祖父へ勝利届ける

スポーツ報知
甲子園球場の中堅の守備位置周辺で動きを確認する白田

 23日開幕の第90回記念センバツ高校野球大会(甲子園)に出場する駒大苫小牧は20日、甲子園練習を行った。降雨のため室内での調整となったが、打線の中軸を担う白田悠祐(しらた・ゆうすけ)外野手(3年)は練習後のグラウンド見学で、球場内の風向きなどを入念に確認した。昨年2月上旬に母方の祖父・上健治さん(享年89)が病気で他界。野球の道へと進めてくれた天国の祖父へ、恩返しの活躍を誓った。

 じいちゃん見てるか、甲子園だぞ―。室内で練習後のグラウンド見学。準備を整える駒大苫小牧の三塁側ベンチ前で白田は数秒間、じっと天を見つめて心で語りかけた。こみ上げる感情を抑えるかのように静かに整列。駆け足で中堅の定位置へと飛び出した。ボールを使用しての練習はできなかったが、「風は思ったより強い。雰囲気も確認できた」と表情を引き締めた。

 突然の別れだった。昨年2月上旬。母方の祖父・健治さんが病気で他界した。練習後に苫小牧市内の寮に帰宅すると、母・結香さん(55)から祖父が危篤状態との連絡が入った。急いで実家のある東京へと戻ったが、最期をみとることはできなかった。「間に合わなくてごめん。絶対に甲子園に行くから」。冷たくなった祖父の手を強く握り、白田は約束した。

 野球の道へと導いてくれた“恩師”だった。2006年夏の甲子園。野球好きの祖父に連れられ、初めて甲子園に足を運んだ。その試合が球史に残る駒大苫小牧―早実の決勝の再試合。駒苫・田中将大(ヤンキース)と早実・斎藤佑樹(日本ハム)の壮絶な投げ合いは、幼心にも響いた。試合後、祖父に声を掛けられた。「悠祐にも“ここ”でやってほしい」。白田は「今考えると祖父が言う“ここ”は甲子園だったのかな。僕は駒大苫小牧だと思って」と笑って振り返る。ただ、野球を始め、東京から駒大苫小牧へと進むきっかけとなった一言だった。

 あれから12年―。白田は駒大苫小牧打線の中軸に座る。球場に到着した際、心の中で祖父にメッセージを送った。「必ずここで活躍する。天国で見守っていて下さい」。空から見守っている祖父に、最高のプレーを届ける。(清藤 駿太)

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