【掛布雅之氏特別観戦記】広島・菊池に若き日の衣笠さんの野性味を見た

スポーツ報知
スコアボードには衣笠さんの写真が映され、半旗が掲げられた

◆広島7―5阪神(28日・マツダスタジアム)

 広島でプロ野球記録の2215試合連続出場を果たすなど「鉄人」と呼ばれ、上行(じょうこう)結腸がんのため23日に亡くなった衣笠祥雄氏(享年71)を悼み、28日の広島・阪神戦(マツダ)は両チームの選手らが喪章をつけてプレーした。広島の4番・鈴木は1号満塁弾など5打点の大暴れで4連勝をささげた。また、阪神の掛布雅之オーナー付シニア・エグゼクティブ・アドバイザーが特別観戦記を寄せた。

 真っ赤に染まった球場に衣笠さんの偉大さを改めて感じさせられた。試合前、黙とうをささげながら、思い返したのは43年前の「赤ヘル旋風」だ。広島は1975年から赤い帽子、ヘルメットを着用し、初優勝を飾った。当時としては大胆すぎる色遣いにプロ2年目の私は衝撃を受けた。山本浩二さん、衣笠さんがともに2本塁打を放った同年のオールスター第1戦も強烈に印象に残っている。虎風荘のテレビで観戦し、2人の輝きがまぶしかった。

 今では当たり前のカープ=赤も、浩二さん、衣笠さんが築き上げた歴史があるからだ。打って、走って、守ってのオールラウンドの野球は、リーグ3連覇を目指す今のチームにも受け継がれている。この試合の立役者の菊池のプレーも野性味があふれ、若き日のキヌさんをほうふつとさせた。

 6回1死一塁の決勝二塁打は、3番の丸が負傷退場したこともあり、自分のバットで決めにいく強さを見せた。3回の一挙5点は、無死一、二塁での自己犠牲の打撃が光った。計算通りに高く弾むボテボテの二ゴロを放ち、一、三塁にチャンスメイクした。嫌らしさと強さを兼ね備えた2番打者だ。8回1死二塁の二塁の守備では、伊藤隼の飛球をセンター定位置の深さで背走キャッチした。攻守に圧倒的な存在感があった。

 阪神の小野は、鈴木に浴びた満塁弾を今後の糧としてほしい。1死満塁、カウント2―2から裏を突くカーブは高く浮いた。犠飛でもOKと高めに目付けしている4番打者に仕留められて当然の失投。ただし、あの縦割れカーブは今後も自信を失わずに使うべき。配球とコントロールさえ間違わなければ、大きな武器になる。

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