【楽天】則本、過呼吸乗り越え1安打完封!チームは今季初3連勝

スポーツ報知
今季初完封で3勝目を挙げ、グラブにキスをする則本(カメラ・谷口 健二)

◆オリックス0―2楽天(12日・京セラドーム大阪)

 楽天・則本が昨夏以来の完封でチームは今季初の3連勝。低めの変化球がさえ、被安打1で9三振を奪い、ペゲーロの2打席連発による2点を守って3勝目を挙げた。8回途中には体調不良でベンチ裏のトレーナー室に退きながら、直後には4者連続Kと復活。不振にあえぐイヌワシ軍団に今季10勝目をもたらした。オリックスは今シーズン3度目の1安打負け。5月までに3度も1安打以下で敗戦するのは、1940年の金鯱(きんこ)以来、78年ぶりの屈辱となった。

 ドームの天井を見上げ、則本は大きく息を吸い込んだ。「1回休憩して、問題なくやれた」。仕切り直して、8回先頭から4者連続奪三振。周囲の不安を一掃し、14年8月15日のロッテ戦(コボスタ)以来の1安打完封でグラブを叩いた。右腕の3勝目で、チームは今季初の3連勝に、初の3連戦勝ち越しを決めた。

 最大のヤマ場は胸の中にあった。2点リードの8回。先頭のT―岡田に4球目を投げると、突如、異変に襲われた。心配して駆け寄った佐藤投手コーチに促され、いったんベンチ裏のトレーナー室に退いた。梨田監督は「背中に張りが出たのかなと思ったけど、過呼吸みたい」と説明。鍛え上げた肉体をフル稼働する則本ならでは、の症状だった。

 林トレーナーは「立ちくらみに近い。胸郭が大きく動いて、収縮しにくくなり、息が吸えず、酸素が足りなくなる。則本は胸を使えている分、張りすぎて呼吸のリズムが合わず、クラッときた。ほかの投手ではそんなに多くない」と説明。則本は「よくあることなんで。でも、ここまでは初めて」。寝そべって、筒状のストレッチポールを用いて胸筋をほぐすと、「心拍数を整えるため」にガムをかみ、9回107球を投げきった。

 悪夢も振り払った。直前の2試合は西武相手に7回途中6失点、3回7失点で連敗。防御率は規定投球回到達者で両リーグワーストの5・26まで悪化していた。「ここ2試合ふがいない投球で、何とかチームが勝てる投球をしたいと思った。配球、流れを修正した」。初回から最速155キロの直球主体で押した。許した安打は5回先頭の吉田正の右前1本だけ。オリックス戦は昨季から6連勝。9Kを加え、通算48奪三振はリーグトップに浮上した。

 チームは12球団のトリで10勝到達。指揮官は「今日は則本に尽きる。前回から信じられない。(8回は)心配したけど、落ち着いていた」とたたえた。「過ぎてしまったことは取り返せない。前だけを見る」と則本。開幕からの息苦しさを乗り越え、楽天にようやく上昇気流が吹き込んだ。(山崎 智)

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