【中日】Gキラー・ガルシア「人生初」完封…「少年時代から完投すらない」

スポーツ報知
来日初完封のガルシア(手前)は、スタンドのファンに深々と一礼した(カメラ・橋口真)

◆巨人0―6中日(12日・東京ドーム)

 突き上げた拳を2度、3度と振り、ナインに力任せのハイタッチを見舞った。来日1年目のキューバ出身左腕・ガルシアが「少年時代から完投すらない。人生初だよ」という完封勝利だ。

 「7回を終えて監督から『いけるところまでいけ』と言われて、最終回まで投げられればいいなと思ったけど、まさかね」と照れ笑いを浮かべた。竜投助っ人のシャットアウトは、11年8月17日のチェン(現マーリンズ)以来の快挙。中日の外国人投手が来日1年目で巨人戦に完封勝利するのは、91年のアンダーソンに次いで、27年ぶり2人目だ。

 “森チェンジ”が猛威を振るった。元から持ち球とするチェンジアップだが、7日、福井での練習中に森監督から「さらに指を開いて握った方がいい」と新たな握りを伝授された。「きょうは普段の握りと、モリサンに教わったのと両方を試したよ」。初回2死二塁でゲレーロを右邪飛に仕留めた131キロは旧来の仕様。4回先頭の岡本を遊ゴロに打ち取った123キロが“森チェンジ”だった。直球より20キロ以上遅い新魔球でG打線を翻弄した。

 右前腕にタトゥーで「TAMARA」(タマラ)としたためている。少年時代に亡くした母の名だ。「いつも母と一緒にいたいという思いで彫ったんだ。娘にもタマラと名づけたよ」。生前、地球の反対側で愛息が活躍するとは夢にも思わなかったはず。そんな母がいる天国に、ウィニングボールを手向けた。

 チームの巨人戦の連敗も4でストップ。自らスカウトした森監督も「良さそうで良くない制球に、巨人打線が戸惑ったのでは」とほくそ笑んだ。ガルシアも巨人戦は来日初登板初勝利を挙げた4月4日(ナゴヤD)に続いて2戦2勝。「巨人は中日のライバルなんだろ。勝ててうれしいよ」。陽気なクバーノ(キューバっ子)が、新たなGキラーに名乗りを上げた。(田中 昌宏)

 ★オネルキ・ガルシア(ONELKI GARCIA SPECK)

 ▼生まれとサイズ 1989年8月2日、キューバ・グアンタナモ生まれ。28歳。190センチ、104キロ。既婚。年俸5000万円。

 ▼球歴 13歳から野球を始め、キューバ国内リーグを経て亡命。ドジャース、メキシカンリーグ、ロイヤルズを経て、今季から中日。

 ▼金髪モヒカン 特徴的なスタイルはロイヤルズに在籍した昨年から。「この髪形にしてから良い成績になった。幸運のブロンドなんだ」。染髪は妻、カットは僚友のビシエドが担当している。私服も赤が好みのド派手スタイル。

 ▼ニックネーム スペイン語で衛星を意味する「サテリテ」。「人工衛星のように速い球を投げるからさ」と、やや強引な説明。

 ▼スポーツ 少年時代はボクシングなどの格闘技やハンドボール、サッカーに夢中になった。「ボクシングは野球と同じサウスポーで、得意のパンチはアッパー。サッカーは13歳までGKだったから、どんな投手強襲の打球もセービングしてやるよ」

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