【西武】獅子の榎田、古巣虎狩りで恩返し「最高ですね」

スポーツ報知
7回3失点で5勝目を挙げた榎田は、阪神ファンの女性から祝福された(カメラ・上村 尚平)

◆日本生命セ・パ交流戦 西武10―5阪神(3日・メットライフドーム)

 西武・榎田が古巣・阪神との初対戦で7回5安打3失点に抑え、藤浪との虎の新旧ドラ1対決を制した。3月にトレード移籍した左腕は、今季自己最多111球の熱投でキャリアハイの5勝目。味方打線の10点の援護に支えられ、お世話になった球団相手に恩返しの白星をマークした。

 虎党が陣取る一塁側へハイタッチに出向くと、思いがけない言葉が耳に飛び込んできた。「阪神に帰ってこいよ」。お立ち台の榎田は「最高ですね。7年間、阪神にいたので、そういう姿を阪神ファンに見せられたらと思って投げた」と話すと、黄色が目立つ右翼席が大きく盛り上がった。10年ドラフト1位左腕が、移籍後初の古巣相手に7回5安打3失点。ドラ1の2年後輩になる藤浪に投げ勝ち、獅子の雄姿を見せつけた。

 六甲おろしを聞き、ジェット風船を目にして、ひと踏ん張りした。「意気込みすぎて、5回でバテてしまった」。6回に1点差に迫られたが、7回2死では福留を外角140キロで見逃し三振。「ボール球だったかもしれない。温かい声をかけていただいて、今日はやりづらかった」と明かした。

 阪神時代の14年3月30日の巨人戦(東京D)。先発の榎田は目を覆った。2回に右前の飛球を追った右翼・福留が、二塁・西岡と激突。グラウンドに救急車が入り、福留は胸部打撲、西岡は鼻骨骨折と左肩亜脱臼などを負った。「気にせず、自信を持って投げろ。けがをしたのは、お前のせいじゃない」。不調に陥った左腕は、同郷・鹿児島の先輩でもある福留の言葉に救われた。

 登板前にかつての仲間と再会すると、藤川にハグで迎えられた。ドラフト同期の中谷とは互いに対戦を熱望。「相思相愛だな」と肩を叩いた。昨季は自己最少3試合の登板だった左腕に白星を献上した金本監督は、「こっちが自滅したようなもの」と声を絞り出した。

 プロ初勝利は11年5月24日の西武戦(甲子園)。7年後にユニホームを入れ替え、13年4勝を上回る自己最多5勝目をつかんだ。榎田は「お互いに切磋琢磨(せっさたくま)して、これからも頑張っていきたい」。虎へのエールも忘れなかった。(山崎 智)

 ◆榎田 大樹(えのきだ・だいき)1986年8月7日、鹿児島県生まれ。31歳。宮崎・小林西高、福岡大、東京ガスを経て、2010年ドラフト1位で阪神入団。11年に球団新人最多62試合に登板。3月に岡本洋介とのトレードで西武入り。通算204登板、18勝18敗3セーブ、60ホールド、防御率3・73。181センチ、89キロ。左投左打。年俸2700万円。

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