人的補償、リスト極秘の是非…ファンの声はさまざま

スポーツ報知
巨人から移籍した内海(左)と長野

 今オフ、プロ野球界で多くの議論となったキーワードの一つが「人的補償」だった。

 フリーエージェント(FA)で他球団から高年俸の選手を獲得した場合、相手球団はその補償として金銭のみ、または金銭+選手一人を「人的補償」として獲得できるというルールだ。この制度で巨人から内海哲也投手が西武に、長野久義外野手が広島に移籍。生え抜き主力ということもあって大きな話題になった。

 FA選手獲得で人的補償が発生する場合、獲得した側(内海、長野のケースでは巨人)は28人のプロテクトリストを作成。相手球団は、このリストから漏れた選手から一人を指名することが可能となる。この28人の「プロテクトリスト」は非公開で、選手たちにも知らされることはない。

 選手からすれば「自分はプロテクトされているのだろうか」と思いながら、相手球団の発表まで過ごすことになる。今回は内海、長野という結果だったが、それ以外の選手は、最後まで自分がプロテクトされていたのかは分からない。

 毎年、より良い野球界にするため、NPBや選手会ではさまざまな議論が交わされている。今回、野球ファンの声を集めるため、スポーツ報知巨人取材班の公式ツイッター(@hochi_giants)では「プロテクトリストの公表」に関するアンケートを実施。3万1804という多くの票が集まり、「公表して欲しい」が77%、「公表して欲しくない」が23%だった。

 ただ、寄せられたコメント欄には「公表してほしくない」派の冷静な意見が多かった。「プロテクト外と知ったら、選手のモチベーションが下がる」、「球団に必要とされていないと言われているのと同じ」、「知っても誰も得しない」、「そもそも人的補償という制度がいらない」など、多くの意見が集まった。

 一方で「ファンが知る必要はないけど選手だけには伝えてほしい」、「自分が外れていると知った選手は危機感を持って頑張るかもしれない」という意見も目立った。ファン心理だけを考えれば興味深いため「公表して欲しい」が、選手や球団戦略のことも考えれば「公表する必要はない」という意見も多かった。

 来年から1軍の登録人数が1人増えて29人となる。ということは、FAの人的補償のプロテクトリストも28人から29人になるのか、など今後もさまざまな議論が予想される。考え方は一つじゃない。選手の声、球団側の声、ファンの声…。さまざまな視点から出る意見が、野球界の発展につながっていく。

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