ポール、2日連続公演中止 3時間ライブする声が出ない、重病説は否定

スポーツ報知

 元ザ・ビートルズのポール・マッカートニー(71)が18日、東京・国立競技場で予定していたコンサートを、ウイルス性炎症による体調不良のため中止した。主催者は「3時間のライブができるだけの声が出ない状態」と説明した。2日連続の中止で、19日に予定していた振り替え公演(17日分)も中止に。あらためて振り替え公演を実施する予定だが、同競技場は7月から改修工事が始まるため、同所での公演は不可能な状況。伝説になるはずのライブは幻となった。

 国立競技場周辺が悲鳴とため息に包まれた。開演1時間15分前の午後4時15分、SNSやホームページ、貼り紙、駅のアナウンスなどで中止が伝えられると、ファンは「本当に!?」と肩を落とした。

 マネジメント担当者によると、この日朝、ポールはスタッフと「今夜の公演は実施しよう」と話し、会場に向かう準備もしていたという。しかし、複数の医師による診断の結果、出発直前になってストップがかかった。

 2日連続での中止に、ポールは「残念ながら僕の体調は一晩では回復しませんでした。ぜひとも今日は元気になると期待していましたが、とても残念に思っています」とコメント。「今日の公演を楽しみにしてくれていたファンの皆さんに申し訳なく思います」と謝罪した。

 「ウイルス性炎症」という以外、詳しい病名や症状は非公表。主催者は「3時間のライブができるだけの声が出ない状態」と説明した。ポール本人と医師、側近マネジャーの数人しか詳細を把握しておらず、主催者側にも知らされていないという。

 17日の時点では胃腸系のトラブルと見られていたが「声が出ない」ということから喉も痛めた可能性がある。ポールはベジタリアンで肉や魚は食べないため、「生ものにあたったとは考えにくい」と話すファンもいた。ポール側は「入院もしていないし、危機的状況で病名が言えないわけではない」と重病説は否定した。

 21日の日本武道館、24日の大阪・ヤンマースタジアム長居での公演は行う予定。中止となった2公演は振り替え公演を実施予定だが、時期や場所の見通しは立っていない。ポールは26日に日本を出発し、28日に韓国公演を予定。その後もツアーは続き、現在、8月14日のサンフランシスコ公演まで発表されている。国立競技場は7月から改修工事が始まるため、同所での振り替え公演は物理的に不可能な状況だ。外国人のソロアーティストでは最初で最後の国立競技場コンサートになるはずが、すべては幻となってしまった。

 ◆警備員と押し問答するファンも

 中止が発表され、ファンはガッカリ。薬物騒動で中止になった80年の武道館公演のチケットを持っていたという秋田在住の40代後半男性は「あの時以来のショックです」と苦笑いだ。ゲートは黒いカーテンで覆われ、ステージは見られなかったが、隙間からのぞける場所も。「中を見せろ」「遠くから来てるんだぞ」と警備員と40分近く押し問答するファンもいた。17日よりもピリピリした雰囲気が漂っていた。

 ◆2日で11万人動員予定

 公演は2日間で11万人を動員予定で、チケットは完売していた。S席が1万7500円、A席が1万5500円、B席が1万3500円。席数は非公表だが、最も多いとされるS席の値段で単純計算すると、売り上げは19億2500万円になる。

 ステージ設営や警備、運営などのスタッフは1日1700人。2日で3400人。会場費などもかかるが、主催者は「経費関係はお答えできない」とした。

 野外コンサートは天候などで中止になる場合を想定し、保険に入るのが通例だが「すべての損失をまかなえるものではない」という。今回は振り替え公演が予定されており、チケット収入がなくなるわけではなく、現段階では損失が出るかは不透明だ。

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