市村正親、胃がん公表 主演舞台降板し手術、11月復帰目指す

俳優の市村正親(65)が27日、早期の胃がんと診断されたことを発表した。体調不良のため6月下旬に病院で診察を受けたところ、急性胃炎と診断され入院。精密検査の結果、悪性の腫瘍が見つかった。東京・帝国劇場で上演中のミュージカル「ミス・サイゴン」で主人公のエンジニア役を務めていたが、この日の夜の部をもって降板。腹腔(くう)鏡手術を受け、11月の仕事復帰を目指す。
主演ミュージカル「ミス・サイゴン」の夜の部を終えた午後9時過ぎ、市村がファクスで胃がんを患ったことを発表した。共演者には終演後、自らの口で伝えたという。
6月下旬に体調不良を訴えた。診察を受けたところ、急性胃炎と診断され入院。念のために精密検査を受けたところ、胃に腫瘍が見つかり、病理検査の結果、7月26日に悪性と判明した。早期の胃がんだった。
7月21日から「ミス―」のプレビュー公演を行い、25日に本公演が開幕。普段と変わらぬ熱演を披露していたが、この日の夜の部を最後に、29日から地方公演を含めた10月5日までの全日程を降板する。今後、約2週間入院し、腹腔鏡手術を受け、退院後は自宅で療養する。「公演を楽しみにお待ちいただいているお客様には、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです」と話している。
90年に劇団四季を退団後、92年初演の「ミス―」で、米国での成功を夢見るキャバレー経営者の通称「エンジニア」を演じた。公演は人気を集め、まさに当たり役となった。「わたしにとって俳優人生の転機となった作品です。『アメリカン・ドリーム』を歌う中で、私自身が俳優として大きな夢を見させていただきました。今の私の夢は、再びお客様の前でこの曲を歌うことです」とつづった。
93年、同作に出演中に急性腸炎のため約10日間、入院。小さな胃かいようも発見された。以降は大きな病気もなく、08年に長男が誕生し、59歳でパパになってからは特に健康に気を使っていることを明かしていた。当面は治療に専念。所属事務所によると、11月8日から帝国劇場で上演されるミュージカル「モーツァルト!」で復帰するという。
◆代役は筧利夫 エンジニア役は、市村と俳優・駒田一(50)とのダブルキャストだったが、今回の降板を受けて7月中の公演は、駒田がすべて出演。8月以降は04、08、09年の公演で同役を演じたことのある筧利夫(51)が代役として加わり、出演スケジュールは決定次第、発表される。市村は「筧さんは、急なお願いにもかかわらず、快くお引き受けくださったことは、どんなに感謝してもしきれません。また、今回からエンジニア役として参加している駒田くんは、僕の弟のような存在です」とコメントした。
◆市村 正親(いちむら・まさちか)1949年1月28日、埼玉・川越市生まれ。65歳。俳優・西村晃さんの付き人を経て、劇団四季のミュージカル「ジーザス・クライスト=スーパースター」のオーディションに合格。73年に四季入団。「ハンス」「オペラ座の怪人」などに出演。89年にはNHK紅白歌合戦に出場し、「オペラ座の怪人」を歌う。90年に四季を退団。その後はミュージカルを中心に活動。05年12月、女優の篠原涼子と結婚。6歳と2歳の息子がいる。07年紫綬褒章を受章。