【報知映画賞】北野武監督、坂本龍一と映画撮る!「戦場のメリークリスマス」で共演 18年ぶり対面で

スポーツ報知
控室で再会して談笑する特別賞の北野武監督(右)と坂本龍一(カメラ・矢口 亨)

 「第42回報知映画賞」の表彰式が20日、東京都港区のザ・プリンス パークタワー東京で開催された。「アウトレイジ」3部作で特別賞を受賞した北野武監督(70)と、特別賞のスティーブン・ノムラ・シブル監督(47)に花束を贈呈した音楽家・坂本龍一(65)が18年ぶりに再会。わずか250秒間の対面だったが、2人でタッグを組んで映画を作ることを誓い合った。

 うれしい。でも、ちょっと恥ずかしい。世界のキタノと世界のサカモトは、初恋の人と再会する時のような顔をしていた。

 北野(以下北)「よっ」

 坂本(以下坂)「どうも~」

 北「ニューヨークから来たの?」

 坂「今月アタマに来まして…」

 北「龍一さんが撮ったんじゃなくて、龍一さんを撮ったドキュメンタリーなんだってね」

 坂「はい。僕、受賞してないんです。今日はおめでとうございます(笑い)」

 報知映画賞の縁が生んだ奇跡の時間だった。1983年、大島渚監督作「戦場のメリークリスマス」で共演した2人は、99年のフジテレビ系トーク番組「たけし・さんまの有名人の集まる店」以来、顔を合わせていなかった。

 坂「大島さんの葬儀でもニアミスでしたよね」

 北「大島さんの行きつけの焼き鳥屋に(一緒に)行こうと思ったら、急に仕事が入ったりね」

 両者とも多忙を極め、拠点が日米で異なることで実現していなかったツーショット。大島監督が2013年に死去した時は北野が通夜に、坂本が葬儀に参列。今夏、両受賞作がベネチア国際映画祭に出品された際も日程のズレによって擦れ違った。この日も2人同時に会場に居られるのは15分間のみ。どちらかのスケジュールがわずかでも前後すれば夢と消えていたが、祝福の空気が後押ししたのか、式の合間の控室で対面が実現した。

 4分10秒。計250秒間の語らいの後、坂本は美しくラッピングした手提げ袋を手に「僕の新しいアルバムです。よかったら聴いてみてください」とプレゼントした。テレ笑いで受け取った北野は「気をつけてね! また強引に電話するかもしれないから! また!」と直電を予告した。

 会っている間は直接伝えなかったが、2人の思いは同じだった。別れた後、監督として、音楽監督として一緒に映画を作る夢をそれぞれ語った。

 北「龍一さんの高いギャラが払える映画を撮りたいね。戦メリから何十年もたって進歩したと思うから、日本を代表する映画を。戦メリの曲は初めて聴いた時、歴史に残る音楽だと思った。同じようなのを作ってほしいね」

 坂「戦メリが僕らの映画の第一歩でした。たけしさんが望むなら真剣に考えますよ。デビッド・ボウイ(戦メリの共演者)も亡くなって僕らしかいないんだから。焼き鳥屋にも行ってみたいよね。大島さんを思い出しながら」

 ベネチアでグランプリの北野、米アカデミー賞作曲賞を受賞した坂本。偉大な映画人が再会し、祝福し、新しい映画を作ろうと誓った一日。きっと、報知映画賞が出発点になる。(北野 新太)

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