エレカシ・宮本浩次が語ったバンドの現在と未来 60代で「大きなこと呼び込めるように」

2018年1月6日8時0分  スポーツ報知
  • 「ベテランバンドだけど、フレッシュなことを味わえた特別な1年になった」と語るエレファントカシマシの宮本浩次(カメラ・小泉 洋樹)
  • 「ベテランバンドだけど、フレッシュなことを味わえた特別な1年になった」と語るエレファントカシマシの宮本浩次(カメラ・小泉 洋樹)

 昨年大みそかの「第68回NHK紅白歌合戦」に初出場し、存在感たっぷりのパフォーマンスを見せた4人組バンド・エレファントカシマシ。2017年は「30周年」と銘打ち、ベスト盤の発売や初の都道府県ツアー開催など、精力的に活動を行った。ボーカル&ギターの宮本浩次(51)が充実のアニバーサリーイヤーを振り返り、バンドとしての現在、未来への思いを語った。(加茂 伸太郎)

 「最大のパフォーマンスで、最高のものを届けたい。自分に誇りを持って歌いたい」。宮本は言葉通り、「今宵の月のように」を力強く歌いきり、お茶の間の心を揺さぶった。エレカシが紅白のステージで華々しく17年を締めくくった。

 「ヒット曲を出したいし、認められたい。普段から『売れたい病』にかかっているんだけど、(17年は)年間を通して、光り輝く何かに身を委ねることができた。ヒット曲を出したわけではなかったけど、自然と肩の力が抜けた。『売れたい病』にかからないで、できたんですよね!」

 昨年は「30周年」と銘打ち、さまざまなことに取り組んだ。3月にベスト盤「All Time Best Album THE FIGHTING MAN」を発売し、4月から初の47都道府県ツアーに挑戦。8か月間かけて各地を回り、8万人を動員した。「我々にとって一番長いツアー。その時点で50歳だったので、体調だけは気をつけようと。生活のリズムに乗り始めると、毎週末にコンサートがあるのは緊張感と相まって心地良くなりました」

 全会場で即日完売の盛況ぶり。これまでにない一体感を味わった。紅白出場決定後の11月16日以降、その感覚はさらに強まった。「紅白が決まり、『うれしい!』という気持ちが伝わったのか、メンバーだけじゃなく、お客さんも、同じ30年の歩みを歩んだかのような祝福感に包まれたんです。蓄積された疲れはあったけど、それを補って余りある幸せなツアー。独特の達成感がありました」

 ファンやスタッフ、関係する全ての人をつなぐ絆が生まれた。その理由を、アニメ「巨人の星」に例える。「バンドをやると、『そこの演奏、そうじゃない『ああしろ、こうしろ』ってギャーギャーとうるさい。それってエゴでね。マニアックな話だけど、星飛雄馬が青雲高校に入学した当初はダメだった。飛雄馬も(エゴを消して)チームワークを学んだら勝ち始めた。30周年は俺のものでもないし、メンバーのものでもない。自分たちのエゴを消して、精いっぱい歌だけを届けようと。それが良かったんだと思う」

 歌手としての原点は、小学2年から4年間在籍した東京放送児童合唱団(現・NHK東京児童合唱団)。「赤羽の団地に住んでいた子供が、渋谷のNHKに行って歌の好きな子供たちと歌だけに特化した時間を過ごす―。大きな経験でした。ちょっと背伸びした場所だったんだけど、その分、学校とは違う力を発揮できる場所だった。女の子が8割9割。意外にモテたんですよ(笑い)」

 1976年8月、NHK「みんなのうた」の楽曲「はじめての僕デス」でソロボーカルに抜てきされた。直前の4月に「山口さんちのツトム君」が100万枚超のヒットを記録していた。「僕は23期生。22期生に川橋啓史君がいて『山口さんち―』が売れた。団地の子供の歌だったので、私が歌うことになったんじゃないかな? 高度経済成長で団地の子が多かった。二匹目のドジョウじゃないけど、そこに白羽の矢が立った」

 エレカシとして、シングルの枚数は昨年11月の「RESTART」まで50枚を数える。最大のヒット曲と言えば、フジテレビ系ドラマ「月の輝く夜だから」(97年)の主題歌としても有名な「今宵の月のように」だ。プロデューサーの依頼に、宮本がドラマの内容に沿って作詞・作曲。これまでのようなバリバリにロックを追求するのではなく、ポップスの要素に舵(かじ)を切った。「歌詞にもだけど、自分たちの歩みのダイジェストが詰まっている。これまでの曲のスタイルとは違っていた。だからこそ、逆に思い切ったスタイルで歌うことができたと思う」

 初回放送日のことは、はっきりと覚えている。エピックソニーから契約を切られ、ポニーキャニオンと契約して2年目。再起を誓っていた。「1時間前から落ち着かなくて、テレビの前をウロウロとしたんです。自分の歌が流れた時の、あの喜び…。東京中の窓を全開にして、みんなに聴いてもらいたかった。それぐらいうれしかったですね」

 6日から大阪・フェスティバルホールで新春ライブを開くなど、18年も精力的にライブを行う。テーマは「原点回帰」だ。「当時とはやり方も違うから一概に比較できないけど、曲も成長したし、僕らも成長した。ヒット曲にならなかった曲も、それなりに存在意義があると確認できた。今みたいな状態で『ファイティングマン』(88年)をやると、拳を上げて聴いてくれる。今なら『原点回帰』を演出できるんじゃないかと思う」

 デビューは21歳。「今宵の月のように」がヒットしたのは31歳、「俺たちの明日」で復活を遂げたのは41歳、紅白初出場は51歳だった。この先の音楽人生に「不安より楽しみが大きい。やりがいのあることがこれからやって来る」と期待する。「大人だし、経験値も違うし、20代の時の50代ってとっても怖かった。今が元気だからってこともあるけど、肉体の衰えを自覚しつつも自分を俯瞰(ふかん)して見ることは得意になった。その年齢なりに、歌を歌っていくことができるようになった。10年周期で大きな出来事があるんで、61歳になって大きなことを呼び込めるようにしたい。楽しみだね」

 ◆3・18ツアー特別出演にミスチル&スピッツ出る

 4人は、今月6、7日に大阪・フェスティバルホールから新春ライブを開催。同14日には紅白と同じ東京・NHKホールに立つ。3月18日の30周年ツアー特別公演(さいたまスーパーアリーナ)にスピッツ、Mr.Childrenの出演が決定。宮本は「華やかなステージにしたい。ストリングスチームも大編成にして、30周年の最大の祭典に。ファンの方は歌の世界、バンドの音楽が好きで来てくれている。極力ソリッド(密)でストレートなものにしたい」と話した。

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