愛月ひかる、外部劇場初主演作「不滅の棘」に奮闘中!

スポーツ報知
舞台のイメージに合わせた白の上下を着こなす宝塚歌劇宙組スター・愛月ひかる

 宝塚歌劇宙組の3番手・愛月ひかるが、大阪・梅田のシアター・ドラマシティで外部劇場初主演作「不滅の棘(とげ)」に奮闘中だ(15日まで)。真風涼帆&星風まどかの新トップコンビを迎え、今年、誕生20周年を飾る宙組の“純血スター”は「自分のことよりも組のことを思い、一致団結して、強いエネルギーを持って進んで行けたら」と“宙組愛”を胸に、難役に挑んでいる。(筒井 政也)

 2014年9月のバウホール初主演作「SANCTUARY」以来、3年4か月ぶりとなるセンター。初東上(東京・日本青年館ホールで23~29日)も控える。

 「いつか絶対、東京で主演公演を。一つの目標だった」と喜び勇み、「全力でやりたいんですけど…」。その理由は演出の木村氏の助言。「愛ちゃんはいつも200%ぐらい出しちゃう人。力を出し惜しみするカッコよさを得てくれたら、変わる気がする」と“引き算”の芝居を求められた。

 03年の花組トップ・春野寿美礼(現女優)の主演作の再演。父の手によって“永遠の命”を与えられ、絶望している300歳以上の男・エロールを演じる。「最初は純粋で性格のいい青年だったのに、長く生きていると、何もかもがバカらしくなり、心がすさんでいる」という役柄のため“全力プレー”は似合わないのだ。

 さらに、キザでナルシストとあって「『全部、自分のテンポで、好きなように』と言われましたが、私とかけ離れ過ぎていて」と役作りに苦労。「お掃除で心も浄化される。部屋の乱れは心の乱れ」というきれい好きは「この真面目さが要らない、と言われます。家をゴチャゴチャにした方がいいかも?」と苦笑いしたが、虚無感を抱く主人公で、新境地を開拓しそうだ。

 宙組一筋で、春には12年目に突入。「生粋の宙組っ子というプライドもある」と胸を張るように、精神面も鍛えられた。16年の「エリザベート」では暗殺者ルキーニに挑み、「それまで稽古場で恥をかくことができなかったんですが、下級生の前でコテンパンに怒られた。もう、何をしても恥ずかしくないです」とキッパリ。前トップ・朝夏まなとの退団作「神々の土地」で演じた怪僧ラスプーチン役のおどろおどろしさも「あの経験がないと、できなかったかな」。強い気持で新生・宙組に貢献する。

 新トップがプレお披露目「WEST SIDE STORY」で12日に本格始動。花組から組替えされた93期の同期生・芹香斗亜(せりか・とあ)も出演しする。「いろいろ変わってくる」という状況下で思い出すのが、朝夏が残した「組のために頑張れた時もあった」という言葉。「自分のために…というより、今は宙組のために頑張る方が、今後の自分もつながるのでは。立場とかより、一人の役者として精いっぱいやることが重要。それを下級生に伝え、刺激を受けながら、さらに成長していけたら」。ひたすら前を向いて進んでいくタカラジェンヌ精神は“不滅”だ。

<仲良し芹香と関西弁トーク>

 芹香は93期の同期の中でも特によく話す間柄。「単純に仲がいい。しょーむない話もよくする(笑い)」と、千葉出身ながら関西弁が飛び出した。「普段からすごく関西弁をしゃべるんです。心地いい。それこそ芹香とは。あの人はコテコテですから(神戸出身)」と笑顔。芹香からは異動の際、「愛ちゃんがいるから安心」と頼りにされているようだが、愛月は男役の良きライバルとして「お稽古場で役を作る過程を見るのが楽しみ」と大劇場公演での共演にワクワクしていた。

 ◆愛月 ひかる(あいづき・ひかる)8月23日生まれ。千葉県市川市出身。2007年3月「シークレット・ハンター」で初舞台。93期生。宙組所属。「誰がために鐘は鳴る」(10年)を始め、新人公演主演4回。14年「SANCTUARY」で宝塚バウホール初主演。16年「エリザベート~愛と死の輪舞~」では暗殺者ルキーニを演じた。身長173センチ。愛称「あい」「ちゃんさん」。

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