羽生竜王「新しい感覚が必要と痛感した一日」敗戦を糧に雪辱戦準備へ

スポーツ報知
記者の質問に応える羽生竜王(カメラ・小泉 洋樹)

 将棋の史上最年少棋士・中学3年生の藤井聡太五段(15)が17日、東京・有楽町朝日ホールで行われた第11回朝日杯将棋オープン戦で初優勝を果たした。準決勝では、公式戦初対局の羽生善治竜王(47)を撃破し、決勝では広瀬章人八段(31)に完勝。

 藤井の優勝を見届けた後で会見に臨んだ羽生は、表情を変えずに言った。「まだ15歳。藤井さんは大きな可能性を秘めています。成長期で、ますます伸びていく。今後を私が予想するのは難しいです」。未知数の領域に達した後継者への敬意を口にした。

 王者の様子は、普段とどこか違った。主導権を握ることなく突入した終盤、いつもなら勝利を確信した時に震える指先がなぜか劣勢で微動した。最後は短手数の自玉の詰みを見落とす王者らしからぬミスを犯して敗れ去った。大山康晴十五世名人を超えて単独1位の45回目の一般棋戦優勝を逃した。

 藤井の強さを「パターン認識の能力が高い」と評す。「将棋は読み、予想し、手を選ぶものだが、良い形の認識度の高さを感じる。また常に冷静沈着で落ち着いていた」。昨年2月、非公式戦で初めて敗れた際に述べた「すごい人が現れた」という対象は1年後、より進化していた。

 同時間帯に行われた平昌五輪フィギュアスケート男子では、同じ漢字を姓に持ち「親近感を抱いています」と語る羽生結弦が五輪連覇を達成。ダブルでの栄冠とはならなかったが、けがから復活したメダリストと同じように、前を見据える。「新しい感覚が必要と痛感した一日でした」。敗戦を糧に、雪辱戦の準備を始めるだろう。

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